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【食品D2Cブランド向け】食品ギフトと日本の贈り物文化

2021/12/22
この記事はこのような方向けに書いています
  • EC展開を考えている食品メーカーのご担当者様
  • EC展開をしているもののどのようにブランドを伸ばしていけばいいか分からない方

 

昨年から続くコロナ禍によって、社会・企業・個人を問わず多くの影響や変化が起こっています。

そんな中で、大きな影響を受けている業界のひとつが飲食業界です。
とりわけ実店舗への影響は大きく、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言などにより時短営業や営業自粛を余儀されなくなった結果、日本全国で4万5000店もの飲食店がコロナ禍で閉店に追い込まれたという調査結果も出ています。

chipperでも、さまざまな想いを抱える中で「実店舗のみでの運営から、ECでの展開もしていきたい」「実店舗を閉店して、ECに特化したい」といったような、ECへの展開をしていきたいというお問い合わせが増えてきています。

今回は、私たちが多くのブランドをサポートする中で見えてきた、「ギフトとしての食品D2C」を展開していくために、まずは抑えておきたい「日本ならではの贈り物文化」と「食品とギフトの関係性」についてまとめました。

 

食品EC市場規模の拡大

現在食品のEC市場は右肩上がりで拡大を続けています。
特に、昨年2月頃からの新型コロナウイルス感染拡大に伴って実店舗の閉店が相次ぐ一方で、食品EC市場は拡大を続け2020年度は市場規模が初めて4兆円を突破しました。

参考:食品通販市場に関する調査(株式会社矢野経済研究所)

しかしひとえに食品をEC販売していくといっても、世の中にはさまざまな目的や食品ジャンルに合わせた多種多様な食品ECサイトが存在しています。

  • 普段の食卓用に
  • 非常時のストックに
  • 好きなお店の限定品を求めて
  • 大切な方へのギフトとして

などさまざまな目的を持ってユーザーはECサイトを訪れており、「なぜこの商品をECサイトで販売していくのか、どんなユーザーに手にとってもらいたいか」を設計していくことが必要です。

 

なぜ「ギフトとしての食品D2C」なのか

農耕文化をはじめ「食を贈る文化」が根付く日本

日本では古来から稲作を中心とした農耕文化が発展してきました。
実りの秋に収穫した食物を神前にお供えし豊作を感謝するお祭りや、1年の豊作を祈願するお祭りなど、「農」に関するお祭りや習わしは日本各地の土地柄を反映しながら現代まで受け伝えられています。

さらに「農」以外でも、収穫できた食料品を身内や隣近所でおすそ分けしあう文化は、地域によっては現代でも残っているところがあるのではないでしょうか。

このように、日本には古来から収穫できた「食」に感謝したり、「食」を贈り合う文化が根付いているのです。

 

一年を通して需要がある食品ギフト

日本の伝統文化から少し離れて見てみると、「食品ギフト」には1年を通して需要があるということが見えてきます。

「プレゼント」というビッグワードの検索数の推移を見ると、毎年12月に大きな山・3月に小さな山ができています。
これは、クリスマスやお歳暮の年末ギフト需要、卒業入学や歓送迎会のギフト需要に伴って、大切な方やお世話になった方へのプレゼントを検索する人が増えるためです。

 

それに対して、「食品ギフト」というキーワードは、大きな検索ボリュームの山がないことがひとつの特徴です。
例えば5月・6月や7月・8月など、ビッグワードでは山ができづらい時期にも、12月などのギフトシーズンに近い数値まで検索数が増加します。
これは、5月・6月の母の日・父の日、7月・8月のお中元のように、日本の年中行事のタイミングで食品ギフトを検討している方による検索数増加が考えられます。

このことから食品ギフトには、季節ごとのイベントでの贈り物として一年を通して需要があることが垣間見えます。
また、贈り物をするタイミングや相手がさまざまなので、販売時期・価格帯・内容など多角的に商品展開しやすいことも相性の良さとして挙げられます。

 

「後に残らない」ギフト

食品ギフトにはもうひとつ選ばれる際の特徴として「後に残らない」という点があげられます。

例えば、快気祝いで何かギフトを贈る際は「病気が後に残らないように」と、食品などの残らないものを贈るといいと言われています。

また、相手との間柄によっては「あまり気を遣わずに受け取って欲しい」と、モノではなく残らないものを贈りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いただく側の立場に立った際、相手やタイミングによっては食品などの贈り物をいただいた方が気後れしなくてありがたかったという経験をお持ちの方もいることでしょう。

 

日本の贈り物文化

日本の年中行事

日本は祝日の日数が先進諸国の中でも多いと言われているように、一年の中で季節ごとの節目(春分の日、秋分の日など)や、人生の節目の祝いや周囲への感謝を伝えるタイミング(成人の日や敬老の日など)を大切にする文化があります。

参考:「国民の祝日」について

さらに国民の祝日以外にも、季節ごとにさまざまな年中行事やイベントがあるのも日本文化の特徴のひとつです。
そしてその中には贈り物文化と密接な関係があったり、食品ギフトと関連したりする行事やイベントも多くあります。

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主な日本の年中行事・季節イベント

 

1月:お正月/お年玉、成人式

2月:節分/恵方巻き/豆まき、バレンタインデー

3月:桃の節句/ひな祭り、ホワイトデー、卒業/謝恩会

4月:入学/入社、花見

5月:端午の節句/こどもの日、母の日

6月:父の日、梅雨入り

7月:暑中見舞い/暑気払い、土用の丑の日

8月:夏祭り/納涼祭、お盆休み、残暑見舞い

9月:十五夜、敬老の日

10月:紅葉狩り、ハロウィン

11月:七五三、新嘗祭/勤労感謝の日

12月:クリスマス、お歳暮

 

どんな時に贈り物をするのか

日本での贈り物文化のタイミングは大きく3つに分けられます。

⒈ 日常での贈り物
旅行のお土産、友人の家でのパーティーの手土産、引越し祝いなど

<特徴>
・季節に関係なく一年を通して発生する
・カジュアルなお祝いでは相手に気を遣わせたくないと考える方も多く、食品ギフトとの相性がいい

⒉ 毎年迎える節目での贈り物
誕生日、記念日(結婚/入籍/創立など)、母の日、父の日、敬老の日、節句など

<特徴>
・一個人に対して毎年ある節目なので、前年とは異なったり他の人とは異なったりするような贈り物が好まれる
・相手に合わせてギフト内容を変えるので、贈り物のジャンルは幅広くなる

⒊ 人生の節目での贈り物
お食い初め/初節句、成人式、結婚式、金婚式、出産祝い、長寿のお祝い(還暦、古希など)など

<特徴>
・人生で一度しか迎えないことがほとんどで、ギフトに時間やお金をかけることも多い
・家族、親戚、仲のいい友人など近しい間柄で祝うことが多く、記念になるようなものまたは実用的なものが選ばれやすい

 

日本ならではのお返し文化

海外ではあまり見られない日本の風習が、「お返し」や「内祝い」の文化です。
「贈答」という言葉が、自分から相手への「贈」と相手から自分への「答(お返し)」を意味するように、日本での贈り物は海外ような一方通行ではなく双方向でやりとりをする文化が根付いています。
実際に、「つまらないものですが」「気を遣わないでくださいね」と言われても、「何かお返ししないと」と頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。

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「内祝い」は本来「身内のお祝い」という意味で、自分の家(身内)でおめでたいことがあった際に、近所のひとなどに喜びをおすそ分けしていた習慣のことです。
現在では身内で祝いごとがあった際、自発的に「内祝い」を贈ることが習慣として少なくなり、いただいたお祝いに対してのお返しの意味合いで贈られることがほとんどです。

 

縁起を担ぐ文化

自分の誕生日と同じ数字の並びを見たら少し嬉しくなる、右足から歩き始めるようにするなど、日常的に験を担いでいることはありませんか。
日本ではさまざまな要素で縁起の良し悪しが文化として定着しています。

 

⒈ 六曜(六輝)
六曜は、大安・友引・先勝・先負・赤口・仏滅の六つからなる、日本では知名度が高い暦注のひとつです。
六曜という言葉に耳馴染みがなくとも、「大安」や「仏滅」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

例えば、縁起がいいと言われている日取りで、「大安」は何事もうまくいく日とされ慶事に人気が高い日取りです。
また、「友引」は「友を引く(友にも同じことが起こる)」ことから、結婚式などの慶事では良しとされ、お葬式などの弔事は避けた方がいいと言われています。
その一方で、「仏滅」はあらゆる物事に対して凶とされており、特に慶事は避けられる傾向にあります。

現在では、仏滅限定の結婚式プランが用意されるなど六輝にこだわらない方も増えてきていますが、特に目上の方が参加する行事では意識しておいた方がいいかもしれません。

 

⒉ 数字
日本では、「4・9」は「死・苦」を連想することから、忌み数としてさまざまな場面で避けられています。
その反対に、「8」は漢数字の「八」が下に向かって開いていることから「末広がり」として縁起のいい数字とされています。
また、慶事では「偶数=割り切れる=縁が切れる」ことから奇数の金額を包むことが多いです。

これらの数字以外にも、誕生日や語呂合わせなどで特定の数字に対して良し悪しや意味付けをする場面もよく見かけます。
例えば、11/22(いい夫婦の日)に結婚式を挙げたり、8/3(ハチミツの日)にハチミツ屋さんがイベントを開催したり、車のナンバープレートを誕生日など思い入れのある数字で取得したり、数字と縁起が日常に馴染んでいる場面は想像しやすいでしょう。

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忌み数だけではなく、さまざまな場面で避けられる忌み言葉も存在しています。

・重ね言葉:「重ね重ね」「たびたび」「次々に」など
・繰り返しを連想させる言葉:「再び」「さらに」「続いて」など

・不幸を連想させる直接的な言葉:「死」「苦」など

・別れを連想させる言葉:「切る」「割る」「別れる」など

※他にも、例えばブライダル業界では「忙しい」「忘れる」は「心を亡くす」と書くためひらがな表記が用いられたり、「終わり」を「結び」と表現するなどの業界内での常識もあります。

 

⒊ 食
食材自体の特徴や語呂から、縁起がいいと言われている食材には下記のようなものがあります。

■特徴から縁起がいい食材例

鰤(ブリ)鱸(スズキ)など 【立身出世】

・出世魚は成長過程で名称が変わっていく
・江戸時代には、元服や出世などの節目に、髪型や服装、名前を変えていたことから立身出世を願う縁起物として定着

数の子 【子孫繁栄】

・ニシンの卵巣には数万の卵があり、子孫繁栄の願いを込める

蛤(ハマグリ) 【夫婦円満】

・2枚の殻がピッタリとくっついており、対の殻以外とは重なり合わない

筍(タケノコ) 【成長祈願】

・早いスピードで真っ直ぐと成長する
・子供のお祝いに使われることが多い

葡萄(ブドウ) 【子孫繁栄】
【商売繁盛】

・ひとつの房にたくさんの実を結ぶ
・ツルが伸び他のものに巻きつく様が、商売の伸びや生命力の象徴に繋がる

■語呂から縁起がいい食材例

鯛(タイ) おめで「たい」
鰹(カツオ)※当字で勝男とも 勝負ごとに「勝つ」
昆布(コンブ) よろ「こぶ」
蛸(タコ) 多幸(「たこ」う)
豆(マメ) 「まめ」に生きる、「魔」を「滅」する

 

ここまで列挙したような縁起物以外にも、日本にはさまざまな縁起物がありますので簡単に紹介させていただきます。

  • 柄:七宝、千鳥紋、亀甲など
  • 動物:鶴、亀、蛇など
  • モチーフ:招き猫、ダルマなど
  • 色:白、紫、金など

 

結びに

日本の文化はまさに温故知新の文化です。
昔からの風習がそのまま定着した文化、時代の変化とともに新しい解釈が加わった文化など、古今東西さまざまな文化が共存し、常に新しい文化が生まれています。

ひとえに「食品ギフト」「食品D2C」と言っても世の中には多様なニーズがあり、日々流行が移り変わっています。
また流行は繰り返すこともあり、目先の流行だけ追いかけていても市場とマッチしないことが多々あります。

今回まとめた内容は、伝統的な文化の側面が中心となっています。
弊社がサポートさせていただいた実際の事例などは別記事で紹介させていただきますので、まずはきちんと日本の伝統文化の知識を身につけた上で、これからの時代にあった新たな風を吹き込んでいきましょう。

弊社はPEST分析・3C分析・SWOT分析などのフレームワークを使いながら、上流の事業設計から関わらせていただけることを強みとして、ターゲットとキャッチコピーを組み込んで事業のグロースプランを設計しています。
さまざまなバックグラウンドや経験を持つメンバーが、D2Cの企画から立ち上げ・運用までトータルで一気通貫したサポートし、伴走型で事業の成長を共創いたします。

ジャンルでのサポート範囲は限定しておりませんので、食品メーカー以外でもぜひお気軽にお問い合わせください。