2021年8月30日、ADKダイレクト社との共同事業として「D2C UP STAGE」がリリースされました。
本記事では、発起人であるchipperCOO西田より、事業に込めた想いを説明させていただきます。
D2C UP STAGEとは、D2C事業立ち上げを希望する企業へ向けた、伴走支援サービスです。
事業企画・商品開発フェーズから販売開始後のPDCAまで、全てのフェーズで伴走をさせていただきます。
支援イメージについては、上部の画像をご覧になっていただけるとわかりやすいです。
ディレクターは常に伴走を行いますが、事業における各フェーズで、必要なパートナーをアサインしながらディレクションを行います。
イメージとしては、「外部事業執行役員・事業部長 派遣サービス」という言葉が一番伝わりやすいと思います。
なぜ「D2C UP STAGE」は生まれたのかを説明するために、まずは私たちchipperがクライアント様と接する中で感じた、”不”について書いていきます。
(多少ドラスティックな表現をしていますがお赦しください)
コロナ禍によるEC特需も相まって、BASEやSTORES,Shopifyなどの比較的簡単に出店ができるカートシステム(=EC販売構築システム)が増えて、日本のEC出店企業数は飛躍的に増加しました。
例えばBASEを例に挙げると、国内でのショップ開設数は、2021年5月31日に150万ショップを突破したとのことです。
参考:「BASE(ベイス)」のネットショップ開設数が150万ショップを突破 直近1年で50万ショップが新規開設!
しかし同時にBASEの決算資料を見てみると、月間で販売のあった「月間売店数」はわずか5.8万ショップとなっています。(これでも充分多いのですが、全体から見たら4%強程度となっています)
参考:BASE株式会社 2021年12月期決算資料
どういうことかと言いますと、約140万にあたるショップが未稼働となっているということです。
これは、下記のいずれかの悩みが発生していることを意味します。
弊社へお問い合わせをいただくクライアント様でも、EC展開を既存の卸販売の延長線上として見られていて、
事業設計・KPI設計や、必要な知識についてそこまで深くは考えていらっしゃらない方が非常に多いです。
特に最重要であるSTP分析について為されていないケースが多く、弊社ではそこから支援をさせていただくことも多いです。
参考:D2C新規事業立ち上げにおける失敗例とSTP分析
前提ですが、決してこういった方について批判をしているわけではありません。
私たちが建設業界や保険業界について詳しくないように、異なる業界について知識がないということ自体は至極当然のことだと思います。
本質的な課題はそこではありません。
問題は、本格的にEC・D2C展開を行おうとした時、必要となる知識があまりにも多すぎるため、その知識を得るために非常に労力がかかってしまう点と、それを知っている人がWINNERとなりやすい構造となっている点です。
「知っている人がWINNERとなりやすい」を実例をベースに説明します。
プロダクトの良し悪し以上にマーケティング戦略の全体像と、具体的な戦術を知っている企業が「売れる商品」を生み出しやすい構造となっているということです。
加えて、いわゆるD2Cブランドで成功していると言われている企業をピックアップしている記事を見てみると、そのほとんどが東京の会社に集中していることがわかりました。
参考:【2021年トレンド予測】マイクロD2Cでスモールブランドの影響が拡大?
そこで地方に本社があるクライアント様に、インサイト深堀りのためのヒアリングをしてみたところ、このような傾向が見えてきました。
あくまで少数の企業へデプスインタビューを行った上での傾向値なので、偏りはあるかもしれませんが、
社会課題に対して向き合いたい強い想いはあるが、でも人材も情報も不足していてどうしたらいいかわからないという彼らの抱えている課題に対して、なんとか向き合いたいという想いが私の中に生まれました。
これは「全ての」ではないので誤解をされないようにお願いします。
弊社へお問い合わせいただくクライアント様からのお話を聞かせていただく中で発見した業界全体における課題ですが、
「事業の本質」を為しておらず、クライアントの課題に対して全力で向き合っていない支援会社が少数ですが存在するように見受けられます。
「事業の本質」とは、ピーター・ドラッカーの提唱する「事業の目的は顧客の創造である」です。
事業とは自社の利益のために行うものではなく、顧客の幸せを生み出し、その対価を得る行為であるという考え方です。
これこそが事業の根本であり、この考えを失った瞬間に事業は「三方良し」から離れ、誰かの利益の比率が大きくなってしまいます。
また、あるクライアント様からは、某コンサルティング会社へ課題を伝え、改善してくれるとのことで月額の契約を結んだが、
結局のらりくらりしながら最低契約期間の終了を迎えたという話も聞きました。
これらの話から私は、EC・D2C支援業界においてクライアントに対して第三者的な視点で他人事のような支援をする会社ではなく、
広い知識を持ちながら、共に同じ視点から事業を進める「伴走者」が不足しているのではないかと考えました。
また、事業において見失ってはいけない指針は「2つ先の顧客の幸せ」だと考えています。
弊社であれば、サポートをさせていただくクライアント様(1つ先の顧客)が提供している商品を購入して何かしらの便益を得る顧客(2つ先の顧客)を見据えて支援をしなくてはいけないと思います。
上述のクライアントの課題を解決しながら、本質的な支援をする集団として、弊社は支援を行っていました。
弊社の支援をさせていただくクライアント様やパートナー様からは、弊社を唯一無二の集団として評価いただけ、どんどんご紹介をいただけており、確かな手応えを感じていました。
しかしその中でどうしても弊社でまかなえない課題がありました。
手厚く伴走型で支援を行うということは、その多くが汎用的な支援内容とはならず、クライアント様の課題や個別のマーケティング戦略に応じた支援となります。
支援内容の横展開がしづらいため社内にナレッジが溜まりづらい状況となっていました。
(社内向けのクローズYouTubeチャンネルで、商談や事例の解説動画をアップロードしてナレッジを共有しています)
パッケージ化できない支援を行うためには、とてつもない広く深い知識が必要です。社員の育成も簡単ではありません。
また、支援の母数を増やすためには、社員数を増やして育成を続けることが最適な手段となってしまうため、相談・お問い合わせの数に対して体制強化が追いつきづらいという課題がありました。(とりあえず今はなんとかやれています)
支援できる企業の数が少ないと、取れる実データも少なくなってしまいます。
そのため、戦略や施策を立てるときに、数値データがマーケット調査の結果に依存してしまいます。
ADKダイレクト社はADKのグループ会社で、chipperと同様にD2Cの支援を行っていました。
ご縁があり彼らとプロジェクトをご一緒させていただく中で、彼らの課題は弊社と逆のところにあると知り、事業提携の発案を行いました。
彼らの抱える課題としては、
私たちの抱える課題をジャストマッチで解決できる強みを持っており、さらに彼らの課題を私たちが解決できるWINWINの関係であることがわかり、事業提携に至りました。
クライアントのD2C事業を次のステージへ進めるための伴走者となるという意味
本事業を通じてD2C業界を次のステージへ進めるという決意を込めて
「D2C UP STAGE」と本事業に名付けました。
「D2C UP STAGE」はまずはβ版提供のクローズ募集から開始します。
(当然、この取り組みとは別でchipperとしてご相談を賜ることは可能です)
2022年春先を目処に、β版参加企業の中からD2Cブランドをいくつかリリースし、その後正式にリリースを行いプロジェクトへの参加企業を募集します。
私はchipperにおけるアライアンスパートナーの座組みを考える役割も担っていますが、やはり2社で共同のサービスを提供するのは難しいです。
そのため、まずはβ版企業へサービスを暫定的に提供することで、正式サービス前に下記の解像度を上げることを目的としてβ版提供を行います。
この辺りがどういう提供がベストか見え切れていないため、少しずつサービスを拡大していくことと致しました。
とりあえず、展開時点での役割分担としてはこんな感じで考えています。
本記事で書かせていただいた内容で批判に見えるような内容は、あくまで「本質的ではないことをしているある一部の会社批判」です。
ですが、クライアント様と接するのが「人間」である以上、そういった会社が存在してしまうことを、否定できません。
忙しいという文字は「心」を「亡くす」と書きます。
人は忙しくなると、本質が見えなくなり目の前の業務に忙殺されます。
その結果、自分のことしか見えなくなってしまうのは世の常であり、それこそが人間の本質であると考えています。
そういった状態にならないために最も重要であることは、高い志を持ち、常に自分自身を律すること。
本事業を通じて、1人でも多くの消費者の方の生活が改善されることを心から信じて、本事業を成長させていきます。
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④ これからのマーケティング戦略
VUCAの時代における事業のあり方について考えていきます
⑤ EC事業構築の考え方
「1年後以降も利益の出る事業」について2つのマーケティング手法を伝授いたします