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D2C新規事業立ち上げにおける失敗例とSTP分析

2021/08/02
商品企画失敗例とSTP分析

D2C関連の新規事業立ち上げプロジェクトの問い合わせを受ける際に、なぜその結論になった?と思ってしまうケースが多くあります。
もちろん、全てのアイデア自体を否定するわけではないですが、大体の疑問を持つ商品に特徴として、顧客視点が一切抜け落ちているケースです。
どんなに優れた機能で見た目も素晴らしい商品を作ったとしても、最終的な購入者である「顧客」ありきで考えないと商品が全く売れないということは往々にしてあります。

そこで今回は商品開発における、よくある失敗例についてまとめます。
「そんなこと言われても既に商品も作ってしまって、どうにもこうにも変更できないよ!」といった場合、
どのように商品展開すべきか検討するフレームワークとしてのSTP分析についてもまとめたいと思います。

 

この記事はこのような方向けに書いています
  • D2C事業をスタート予定で商品企画前の方
  • プロダクトアウト起点ですでに商品を作ってしまっている方

 

失敗例1:機能・成分起点で商品を作ってしまう

最も多いと思うのは、プロダクトアウト型での失敗例です。
大前提として、プロダクトアウトが必ずしも失敗するということではありません。
ただしプロダクトアウト型での展開は、私のこれまでの経験上、その業界内でリードが取れるポジションにある会社でないと厳しい選択肢だと考えています。

機能起点(=プロダクトアウト)で商品展開する場合、起き得る問題は競合他社による代替製品が生まれるリスクです。
機能性だけであればすぐに代替されますし、仮に特許を取っていたとしても、類似の価値を生む商品が出てきた段階で優位性を失います。

最新技術や新しい成分の特許をおさえることで、競合の参入障壁を高めることができたり、競合参入前にマーケティングコストを投下することが可能で、圧倒的な市場シェアを取ることができる場合において戦える強者だからこそ取れる選択だと考えています。

 

失敗例2:とりあえず周りがこの方法で成功しているから…

最近日本酒業界の案件に多く関わらせていただく中でよく質問される事例なので、こちらのケースも共有します。

2020年、とある日本酒スタートアップが業界に対し大きな波紋を起こしました。

これまで日本酒業界の販売手法としては、特約店といった酒屋さんを通し商品を流通させるのが基本でした。
ワインやウイスキーと違い、価格が高騰することはほとんどなく、大体の流通商品の金額は3,000〜5,000円台が当たり前の業界で、27,000円の日本酒をオンラインを介し販売したのです。

具体的にどの程度の売上かは不明ですが、現在の推定売上は年間10億円ほどを作っている見込みです。
そうしたモンスター級の事例が業界全体を震撼させたことや、昨今のコロナ渦による卸売市場の低迷などが原因となり、多くの酒造メーカーさんが自社でも類似の戦略ができないかということで、多くのお問い合わせをいただいております。

ただし、ここで注意しないといけないポイントがあります。
もちろんマーケティング戦略としては同じような戦略を取ることはできると思います。(ただし相当量の投資は必要です。)
では、同じ結果になるかというとこちらは非常に難しい問題です。こちらも失敗例1と同様に顧客視点が抜けているため、顧客に向けた刺さるストーリーが二番煎じになってしまいます

一社目が大成功を収める背景には、もちろんマーケティング戦略も重要ですが、どのようなターゲットに向けて綿密なストーリーを展開していくかが練られているので、単純に売り方だけを真似しても同様の結果が得られることは少ないです。
自分たちだけの独自のストーリーと、誰に向けて商品を届けるのかをちゃんと練らず、方法論だけに目を向けてしまうと失敗するリスクが高まります。

 

重要なことは顧客視点に立つということ

いずれのパターンにおいても、顧客視点が抜け落ちている場合、成功確率が著しく落ちます。
重要なことは、誰の”不”を解消するために、どのような課題解決ができるか、もしくは誰にとってのどのような価値を創出するかという点を突き詰めることです。
元も子もない話になりますが、課題内容によっては、商品を作ることだけが正解ではないかもしれません。

商品企画に入る前に、ターゲットのペルソナ・カスタマージャーニーを明確にした上で作る商品と、
そうではない商品ではマーケティングのしやすさや紹介のされやすさという点においても明確化されるため、商品が世の中に広がるまでのプロセスも優先順位をつけて無駄をなくした動きができるようになります。必然的に投資コストも抑えられます。

D2Cで商品企画から実施する場合は、是非そこから突き詰めることをお勧めします。

とはいえ、すでに商品が出来上がってしまっていて、機能面やデザイン面で変更がきかないといったケースもあるかと思います。
そういった場合に、どのように市場を選定していくべきか検討するフレームワークを共有します。

 

市場を細分化し捉え自分たちのポジショニングを明確化させるSTP分析

フィリップコトラーが提唱した分析手法としてSTP分析という方法があります。
STP分析とは、新たなビジネスの展開や新たな商材(サービス)の販売などを検討する際、市場にリリースする前にさまざまな角度から分析を行う手法です。

SEGMENTATION(市場の細分化)、TARGETING(狙う市場の決定)、POSITIONING(自社の立ち位置の明確化)の3つの英単語の頭文字をとって名付けられています。

STP分析

 

SEGMENTATION(市場の細分化)

似たようなニーズを持つ顧客層に細分化して捉えます。
市場を細分化して捉えることで、ターゲットとする属性を明確化することをしないと、ペルソナ設計をする際に抽象度の高いアウトプットになってしまいます。
ユーザー視点に立つ前準備として市場を細分化して捉える作業は、最重要となっております。

先日クライアントワークのために新卒にアウトプットしてもらった際に気づいたのですが、市場の細分化する上でのコツとして、機能面での細分化ではなくターゲット属性に合わせたセグメントをしていくことです。

例えば自転車の市場をセグメントする場合、重量や商品価格でセグメントを行ったとします。
その分類の仕方で見えてくるのは競合とのポジショニングの比較になるだけなので、狙うべきターゲットが明確化されません。
あくまで顧客視点に立って市場の細分化を行うことが重要です。

仮に自転車の場合は、年齢や性別、地域ごとの利用ユーザー、顧客のライフスタイル(例:近距離走行か長距離走行か)といったように、顧客属性に合わせた切り口で分解します。

 

TARGETING(狙う市場の決定)

市場の細分化ができたら次に行う作業として、狙う市場の決定です。
ターゲティングする際によく議論に挙がるのが、市場のど真ん中を狙うべきか、それともあえてターゲットを絞って狙いにいくかという点です。
これも非常に判断が難しいポイントですが、市場規模や市場成長性、投資可能な金額から複合的な判断が必要です。仮に今後まだ拡大していくことが予想される市場の場合、ど真ん中を狙うプロダクトもドンドン出てきます。

レッドオーシャン化しているのかまだブルーオーシャンとして捉えるべきなのか悩ましいですが、私の経験値ベースでいうと、仮にうまく市場の流れを掴んで最初売上が上がったとしても、ブランドスイッチされるリスクが高く、顧客のLTVが想定よりも上がらないことが多いため、戦うべき市場の中で圧倒的な価値提供が可能だったり、相対的に鑑みた際に投下資本を多く捻出できる場合を除いて避けたほうがいいです。

逆に、成長期前の市場に関しては、第一人者になることがブランドのロイヤルティを高める要因になりうるため、あえてど真ん中を狙いに行くのを推奨します。
参考までにですが、1,000億円以下の市場規模しかならないのであれば、戦うプレイヤーは1社で十分その市場に価値提供できると考えています。
2番手、3番手は戦う余地がありますが、4番手以降になることが予想された時点で別のターゲットに向けて戦略を練った方が生産性が高い印象です。

 

POSITIONING(自社の立ち位置の明確化)

ポジショニングは、セグメント内の競合の商品やサービスを見て自社プロダクトの立ち位置を決定する作業です。
ポジショニングを行う上で大切なのことは、競合と比較する軸を持つことで、値段や、品質、店舗数、販売チャネルなど、多くの指標の中から必要なものを決定し、競合と比較します。

この際に重要なのは、一つの切り口だけではなく複数の切り口で比較することです。
一見競合と差別化できているようであっても、別の軸で調査すると重複しているケースがよくあります。

とはいえ、完全に差別化させることが正解なのではなく、どの切り口でみたときに顧客にとって新しい価値を提供できているかを判断するために、複数の切り口で見極めていくことが重要です。
ただし、あまりにも多くの切り口で考えてしまうと選択肢が広がりすぎて逆に判断が複雑化してしまうので、2〜4つの切り口で判断する程度がちょうど良いと思います。

上記のように、そもそも競合はいるのか・いる場合はどの程度の規模なのか・強みは何か、課題は何かなどを調べ、自社が勝負できるポジションを探すことがポジショニングの基本です。

 

これまで記載したセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの流れを経てようやく自社がどの領域で戦っていくかが見えてきます。その上で、顧客のペルソナ像、カスタマージャーニーを落とし込むことでより自社の価値が際立つ戦略を考えいきましょう。

最後に宣伝ですが、弊社ではSTP分析をする際に、検討材料となる市場分析からご支援しております。
商品企画をご検討の方や、商品を作ってしまったけど、どの市場を狙いに行くべきかわからないといった方は是非お問い合わせください。一緒に検討していけたらと思います。