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【セミナー書き起こし】インサイトデータから見る 勝てる10億円市場の見つけ方

2022/07/15

こんにちは、chipper西田です。
下記のオフラインイベント「第1回 D2C会議」にて、ヤフー株式会社 データソリューション事業本部 駒宮 氏とセッション登壇をさせていただきました。
タイトルは「インサイトデータから見る 勝てる10億円市場の見つけ方」です。
25分の短時間のセッションでしたが、手前味噌ですが個人的にも非常に有用なお話ができたかと思っています。
お話した内容をあの場だけで終わらせるのはもったいない!と思い、内容を思い出しながら書き起こしさせていただきました。

 

この記事はこのような方向けに書いています
  • D2C事業立ち上げやリブランディング時にデータからどのようにアプローチをしたらいいかわからない
  • D2C会議に参加したかった!

 

著者紹介

D2Cビジネスが地方創生の鍵を握る!chipper×ADKダイレクトが取り組む業界の課題とは
株式会社chipper 取締役COO 西田圭佑

新卒からベンチャー企業にて、二度の事業立ち上げを発案・計画・実行。
事業の0→1フェーズ、1→10フェーズそれぞれの責任者として「やりきった」経験を豊富に持つ。
それらの経験から、マーケティングとビジネスモデル立案の知見が深い。
D2C/EC領域でインサイト起点の事業プランニングを行う方法が確立されていないという状況を変革するため、D2Cインサイト発見型アプローチのフレームワークを構築し提唱する。

セミナー書き起こし

1. 事業計画の起点となる考え方

【西田】
早速ですが、まずは「事業計画の起点となる考え方」は大きく3つあると思っています。

  • 未来をどうしたいか、未来に発生する課題に対してアプローチする場合
  • 顧客のインサイトに対して解決するためのプロダクトや訴求を考える場合
  • 自社の既に持っている事業や強みに相乗効果が生まれるための事業という観点で考える場合

と3種類あると思っています。
それぞれのパターンで思考やワークのステップは変わるのですが、今回は中央の「顧客インサイト起点」で考える時のお話となります。


【駒宮】
確かに大きく分けるとこの3つですね。
トレンドをキャッチして、そこを軸に事業を創る場合は、西田さんの中ではどこに分類されますか?


【西田】
トレンド型のアプローチは、未来創生と顧客インサイトの中間にあると思っています。
「今後トレンドが更に盛り上がる」という観点では未来がどうなるかに対して思考するアプローチが必要ですし、トレンドの奥底に眠っている「顧客のインサイト」という観点では、顧客インサイト型に分類されると思っています。
いずれにしても、本来はこれらの3つのアプローチは、事業計画を行う上では全て行うのが理想です。


【駒宮】
西田さん、おそらく「インサイト」という言葉はヤフー社内でもchipper社内でも公用語になっていると思うのですが、一般的な用語ではないと思うので、しっかり解説して進めていきましょう。笑


【西田】
すみません、一応ちゃんとインサイトについての説明スライドは作っています。笑

 

2. 顧客インサイトとは?

【西田】
よくインサイトを理解する上では、氷山に例えられることが多いです。
顕在ニーズ、潜在ニーズのような「顧客が欲しい物、もしくは欲求を既に認識している状態」ではなく、「認識できていない欲求」のことがインサイトと呼ばれています。


【駒宮】
マクドナルドの事例などが有名ですよね。
顧客にアンケートを取ったところ「ヘルシーなマックが食べたい!」という多数の声に合わせてサラダマックという商品を作って売れなかった事例ですね。ヘルシーを求める人はそもそもマクドナルドには来ないという話ですね。
顧客の表面的な声はあくまで顕在化されているニーズです。キーとなる購買要因とは異なることもあるため、それに惑わされるのは非常に危険ですね。

今回はD2Cのイベントとのことなので、D2C関連で何かインサイトを捉えた商品などはあるのでしょうか?


【西田】
全く同じ切り口で商品展開をしたのですが、ターゲット違いでインサイトを捉えた・捉えられなかった例がありますね。
「パーソナライズサプリメント」という観点でほぼ同時期に商品展開をした事例です。成功例としては、有名な今はポーラ・オルビスグループにいらっしゃるFUJIMIさんですね。

ブランドとしては、若年女性の「サプリ=ダサい」というイメージに対してオシャレさを追求しました。更に「自分に何が合うかわからない」というインサイトと、女性の占い好きであるという特性にうまくアプローチをしたブランドと思います。
付け加えると、心理学で言う「イケア効果」をうまく利用していますね。イケアで買った商品は必ず組み立てが必要なのですが、自分で作ったり組み立てた物に対しては他の商品より効果が良い物というバイアスがかかる心理効果です。

反面同じパーソナライズサプリメントで失敗してしまったブランドとしては、同じくパーソナライズサプリメントのiHackさんです。ビジネスリーダー層向けにパーソナライズブランドを展開していました。

本日セミナーにいらっしゃる方々もビジネスリーダーの方が多いと思うのですが、ビジネスリーダーは自身の課題を認識をしているので「自分に何が合わないかわからない」というインサイトがなかったため、展開後約2年ほどでパーソナライズブランドは閉鎖となりました。


【駒宮】
なるほど。
chipperさんでは、ヤフーから提供させて頂いているツール「DS.INSIGHTを使ってインサイトの発見をされていると聞いていますが、あまりD2C/EC業界に広く浸透されている手法ではないとも聞いています。
D2C/ECの業界の方々は、一般的にはどのようなフローでニーズ発見まで持っていくのでしょうか?

 

3. 顧客インサイトを発見するために(従来)

【西田】
従来では、D2C/EC業界ではこのようなフローで事業仮説を立案していました。
chipperでもヤフーさんからデータをいただくまでは、このようなアプローチでニーズの発見を行っていました。

インサイトや悩みは何らかの外的要因から発生しますが、それを示す物はアンケートのような顕在化された情報しかありませんでした
顕在化された情報を軸に顕在ニーズを導き出したり、仮説から潜在ニーズを導き出したりしていました。インサイト仮説を生み出すための根拠となる情報がなく、仮説が本当にインサイトと紐付いているかがわからない状態でした。

 

4. 顧客インサイトを発見するために

【西田】
しかし、ヤフー様のビッグデータを提供していただけることで、インサイトの仮説と課題の特定ができるようになりました。直接的な検索キーワードから顕在ニーズの推定、間接的な推定を行ったりすることもあります。

いただいているデータの中には、共起キーワードだけでなく「特定のキーワードを検索した人がその前後に何を検索しているか」まで含まれているので、こちらを使ってインサイトや潜在ニーズの推定を行うことができるようになりました。


【駒宮】
まさしく弊社が考えている理想のデータ活用方法をしていただいていますね。このような活用の仕方は大変嬉しいです。

 

5. 検索データだけでは意味がない

【西田】
ありがとうございます。
一方でデータそのものを神格化してはいけないとも考えています。
あくまでデータではなく、そこから導き出す仮説に意味があります

そのために、外部環境としての社会情勢や市場背景や競合を理解し、同時に顧客の検索シーンや深い心情まで含めて理解することで、良質な仮説と呼べると思います。


【駒宮】
データの表層だけ捉えるような考え方だと、データがいくらあっても宝の持ち腐れになると思います。
例えば「スマホ データ復旧」という検索ワードだけでは、データ復旧したいというニーズはわかったとしても、なぜデータ復旧させたいのかという理由についてはわかりません。
実際はその数分前に「スマホ 水没」や「スマホ 写真 消した」や「スマホ 機種変更 失敗」など、どれを検索しているかでニーズが異なります。どういった前後の文脈が存在するか、その裏にどういったユーザー感情があるか、よりデータを深掘って考えることが重要です。


【西田】
なるほど、確かに「データを表面で考える」は、弊社でも新人が初めてデータを扱う際に起き得るケースなのですが、こればかりは深く思考するという訓練をひたすら重ねるしか解決策がないと思っています。
だからこそ、弊社ではそこを何度も反復して行っているため、価値があると思っています。

 

6. 良質なインサイト仮説から考える10億円市場とは?

【西田】
私が先程「良質なインサイト仮説」という言葉を使いましたが、何を以て良質と定義するのかの評価軸が必要です。
主に「消費者の共感度=購入意欲度」と「マーケットにとっての新鮮さ=新奇性」の2軸で評価します。

共感度は高いが新鮮さが低い場合は、既に競合がそのニーズを開拓しているケースが多いです。その場合、市場の獲得のために多大なプロモーション費用がかかります。

また、新鮮さはあっても共感度がマス向けとしては低い場合、ニッチターゲットとなります。これはこれで10億円市場となる可能性はあるのですが、全体の市場規模と競合からの「非模倣性」となり得るコアコンピタンスが必要です。

そういった意味で良質なインサイトの定義は、右上の「共感度が高く新鮮さも高い」という部分です。


【駒宮】
なるほど、これは多くのインサイトに対して解説する書籍などでも語られることの多い内容ですよね。

さて、セッション時間も残り少なくなってきたので、実際に当社の提供データを使ってどのような分析をされているのか、会場の皆さんに事例をお見せいただいてもよろしいでしょうか?

 

7. 20-60代女性 サプリメント関連キーワード検索(2021年)

【西田】
例えばこちらは、2021年のサプリメント関連の共起キーワードの検索データを、女性20-60代に絞って出力したデータをマインドシェア型にマッピングしてみました。
実際は検索ボリュームも含めて見ていますので、どのマーケットの規模が大きいかまでの推定や、どの競合のバイネーム検索が多いかの認知度も加味してマーケットニーズを推定します。今回は数値をここで出すと細かくなってしまうので、マインドシェアとしての分析をさせていただきました。

例えば20代では「おすすめ」「ランキング」などの比較系や「飲むタイミング」などのハウツー系の検索が多く「どれがいいかわからないから調べよう」というインサイトがあることがわかります。
また、30代になると妊活→妊娠中→育児ニーズに推移し、多少育児が落ち着いてペットや自分の身体に関する悩みにシフトするということがわかります。


【駒宮】
右側の方を見ると、同じ身体に関する悩みでも自分自身の健康である「眼」に関する悩みは60代が多く「育毛」などの人からどう見られるかの需要は40-50代のシェアが大きいというのも面白いですね。

2021年はコロナ関連のサプリメントが非常に売れていた印象でした。ボリュームは多かったのではないでしょうか?


【西田】
そうですね、図の中央右ぐらいにコロナ関連がありますが、コロナ関連の検索ボリュームは非常に多かったです。
その中でも50代60代の比率が多いですが、政府の出している人口統計を見ても、この方達の人口ボリューム自体が多いので、結果として全体の検索ボリュームも左右されます。

8. 某サプリメントの「商品名 検索前10日間の検索データ」

【西田】
これは実際に弊社の韓国輸入サプリメントを日本向けに販売しているクライアント様の事例です。
一番右がその商品名を検索したタイミングなのですが、その前10日間にどういった検索をしているかを分析しました。

他にも様々なことが読み取れますが、目元ケア関連の検索が多かったため、そういったニーズ傾向があると推察しました。その商品に一部目元ケアの効能もあったため、目元訴求にLPや広告を改善してみたところ、売上が1.6倍に増加しました。


【駒宮】
事業戦略を創るだけでなく、広告の訴求を考える際にも使いやすいですよね。

chipperさんの事業領域は新規事業だけではないのは私は認識しているのですが、会場にいらっしゃる皆さんはそう思われていない可能性があるので、最後にご説明いただいてもいいでしょうか?

 

9. chipperの支援イメージ

【西田】
はい、まさしく新規事業企画時だけでなく、既存事業の改善支援でもこのアプローチは有効です。
弊社では、まずはヤフーさんと契約している「Yahoo! JAPAN DATA SOLUTION DS.INSIGHT」を軸にあらゆる角度からのデータ収集を行います。
競合ブランドの流入データも含めて仮説を立てて、ソーシャルリスニングやN1ユーザーへの定性インタビューを経てインサイト仮説をブラッシュアップし、そこを軸に新規事業や既存事業の再設計をクライアント様と共に考えていきます。

コンセプト設計やブランドサイト構築、広告戦略の立案を行い、LPや広告の運用を行うこともあります。
弊社の強みとしては、リサーチ→仮説→全体戦略→ブランドコンセプト→広告戦略までをワンストップで支援を行うため、事業全体の最適解を導きやすいという点だと思っています。
弊社の方でコンセプトを立案し、クライアント様の指定の広告代理店様にディレクションとして入らせていただくようなことも柔軟に行っております。

ぜひご興味あります方は相談に乗らせていただきますのでご連絡ください!