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【2021年最新】広告表示にみる薬機法改正のポイントと注意点

2023/06/16

2021年8月に薬機法が改正されました。
医薬品だけでなく、化粧品や健康食品・一般食品などECサイトで販売されているさまざまな商材に関係する薬機法の改正ポイントを、違反時の罰則制度も含めて解説します。

 

薬機法とは

直接薬機法に関わる商材を扱っている方以外でも、薬機法(旧:薬事法)の名称を耳にしたことがある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
詳細については下記の記事で解説していますが、薬機法とは医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保し、国民の生命・健康を守ることを目的に制定された法律です。

自社ECサイトやECモールでの商品説明文やバナーへの記載文言や、FacebookやGoogleをはじめとした各WEB広告においても非常に重要な役割を持っているこの薬機法。
薬機法に関わる健康食品や化粧品、食品関連のメーカーやブランドでは知識として必要となってくるでしょう。

これまでの薬機法関連の記事はこちらから
▼前編:薬機法基礎知識
▼後編:Amazon実例!薬機法違反例と対応

 

2021年8月の薬事法改正

さて、それでは具体的に2021年8月に改正されたポイントをみていきます。

今回の改正で追加されたのが「課徴金制度の導入」です。
これまで定められていた、虚偽・誇大広告違反時の罰金200万円以下に加えて、違反行為によって不当に得た利益から算出した金額を課徴金として追加徴収することができるようになりました。

 

課徴金制度の導入の経緯

薬機法違反に問われる最たるものが、売り上げ増大による利益の確保を目的とした広告における表現です。
虚偽・誇大広告の違反に問われた際、これまでの法律では違反した事業者や個人に対して200万円以下の罰金を課すのみでした。

しかし近年さまざまな業界でEC化が進み、法人だけでなく個人でもECへと参入しやすくなりました。
その結果化粧品や健康食品などの薬機法に関わる事業でも、利益追求を第一とする事業者や薬機法上の許可がない事業者が出現するようになりました。
こういった事業者は、薬機法上の許可がない事業者であることも多く、許可取り消しなどの行政処分を実行することができませんでした。

そこでこういった違反行為を行う事業者への抑止力として、アメリカやEUではすでに取り入れられているような、単なる罰金ではなく違反行為によって得た利益の接収を含めた罰金や制裁金制度を、日本でも「課徴金制度」として導入されました。

 

課徴金制度の概要

厚生労働省が公表している、課徴金制度の概要は下記の通りです。
売上規模が5,000万円に満たない場合は課徴金納付命令を行わないなど、特に薬機法に抵触をしながら大きな利益を得ている事業者を対象にした制度となっています。

制度導入の趣旨

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で禁止している医薬品、医療機器等の虚偽・誇 大広告に関し、虚偽・誇大広告の販売で得た経済的利得を徴収し、違反行為者がそれを保持し得ないようにすることによって違反行為の抑止を図り、規制の実効性を確保するための措置として、課徴金制度を導入する。

 

課徴金納付命令

① 対象行為:医薬品、医療機器等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する虚偽・誇大な広告(第1項)

② 課徴金額:原則、違反を行っていた期間中における対象商品の売上額 × 4.5%(注) (第1項)

③ 賦課:対象行為に対しては課徴金納付命令をしなければならない。(第1項)

・業務改善命令等の処分をする場合で保健衛生上の危害の発生・拡大への影響が軽微であるとき等には、課徴金納付命令をしないことができる (第3項)
・ 課徴金額が225万円(対象品目の売上げ5000万円)未満の場合は、課徴金納付命令は行わない(第4項)

(注)過去の虚偽・誇大広告違反の事例を踏まえれば、対象となる虚偽・誇大広告違反は主として医薬品・医療機器の製造販売業者により行われることが 想定される。このため、医薬品・医療機器製造販売業者の売上高営業利益率を参考に、算定率を設定した。

 

課徴金額の減額

④ 減額:以下の場合に課徴金額を減額

・ 同一事案に対して、不当景品類及び不当表示防止法の課徴金納付命令がある場合は、売上額 × 3% (※ 景表法の課徴金算定率) を控除
・ 課徴金対象行為に該当する事実を、事案発覚前に違反者が自主的に報告したときは50%の減額

 

除斥期間

⑤ 除訴期間:違反行為をやめた日から5年を経過したときは、課徴金を賦課しない。

 

インターネット広告への影響

今回の薬機法改正によってインターネット広告へも大きな影響が出るものと考えられます。

 

拡大するインターネット広告費

電通の調査によると2020年の国内での広告費は、新型コロナウイルス拡大の影響もあり前年比約89%にとどまりました。

特に、新聞・雑誌・テレビなどのメディア広告や、イベントなどでの販促プロモーションでの広告費用が前年比マイナスでの着地となりました。
その一方で、インターネット広告費はさまざまな業界でのEC化・デジタル化が進んだことに伴い年々プラス成長で推移しています。
参考:2020年 日本の広告費

Facebook広告やGoogle広告に代表されるようなインターネット広告は、パソコンやスマートフォンの操作で日常的に目にする機会があります。
今回の薬機法改正によって、こういったインターネット広告を打ち出す際の広告表現での違反行為に対して、罰金だけではなく課徴金が課される可能性が出てきました。

メーカーや広告代理店では、今まで以上に広告表現に対して注意を払う必要があります。

 

ECモールでの注意喚起

今回の薬機法改正に伴い、各ECモールでも出店メーカーに対しての注意喚起がなされています。

▼楽天市場での注意喚起

ECモールでの薬機法違反の実例に関しては、こちらをご参照ください。
Amazon実例!薬機法違反例と対応

 

おわりに

今回の薬機法改正では課徴金の対象になるのは、売上が5,000万円以上の事業者のみですが、それ以外の事業者の違反行為が見逃されている訳ではありません。
今後さらに取り締まりが強化される可能性もありますので、知らないうちに違反行為を行なってしまっていたということがないように知識や情報をアップデートでしていきましょう。

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