各業界で「EC化」が進む昨今。
BtoC向けのメーカーでは、自社ECサイト・ECモールへの出店と大きく2つの「EC化」を選択されていることと思います。
しかし、ECサイトを作成すること・ECモールへ出店することがゴールではありません。ECでの売上を伸ばしていくことが本来の目的ではないでしょうか。
今回はAmazonにおいて、ブランド立ち上げから半年で売上10倍を達成したクライアントを例にあげ、メーカーとコンサルタントが共創した取り組みをご紹介します。
ブランド立ち上げ期において注力すべきは、潜在層へのアプローチです。
こちらのクライアント(以降A社)の商材は、美容液。同じカテゴリー内では比較的高め価格設定でした。
そのためいきなり新規の顧客は獲得できないと考え、まずはブランドの認知があるユーザー(=潜在層)へのアプローチを行いました。
広告運用は、ブランド名に対するキーワード広告を設定。
この時に気をつけるポイントが、表記揺れまで対策することです。
例えば、「Nippon(日本)」というブランドがあったらと考えてみてください。
あなたなら、どんなキーワードで商品を探しますか?
「Nippon」「nipponn」「ニッポン」「にっぽん」「日本」「にほん」など、スマホやパソコンの変換によって探し方は十人十色です。
中にはタップミスで「ニッピン」「nippun」と検索してしまう方もいるかもしれません。
「ブランドのことを知っているユーザー」が、必ずしも正式名称で検索してくれるとは限らないのです。
そのため、ユーザーが検索するであろうキーワードを広告キーワードや検索キーワードに設定していくことで、「ブランドのことを知っているユーザー」へのリーチを最大限広げることが重要です。
潜在層へのアプローチをする一方で、カテゴリー内でのシェアを獲得していくための下準備も進めていかなくてはなりません。
注目するポイントは2つ。
①商品説明の充実
②サブ画像の充実
商品説明とは、全部で5項目記載できる「製品の特徴」や、サイズ・重量などの基本情報、画像とテキストで商品を説明できる「商品紹介コンテンツ」の設定など幅広い対応を指します。
情報を充実させることで、自社商品の特徴をより魅力的に伝え、他社との差別化へと繋がっていきます。
サブ画像の充実は、スマホでのネットショッピングをするユーザーが多い現代では、必ず実施した方がいい内容です。
なぜなら、スマホユーザーの多くが、商品ページ最上部に表示されるサムネイルを横フリックして商品情報を得るためです。
Amazonでは、
「メイン画像をクリックすると、パソコンのブラウザでは、メイン1枚+サブ8枚の合計9枚が表示されます。モバイルのブラウザおよびアプリでは、メイン1枚+サブ6枚の合計7枚が表示されます。」
出展:Amazon出品大学
とマニュアルにもあるように、メイン画像にプラスして最低でも6枚のサブ画像を用意した方がいいでしょう。
さらに、画像デザインや訴求内容によってアクセス後の転換率が変わってくることが大いに考えられるため、数パターンの画像の組み合わせがあると尚いいと思います。
Amazon内でブランドを保護し、さらに成長させていくために、ブランド登録をすることができます。
ブランド登録をすることにより、
といった売り上げの伸長に繋がるさまざまな施策を実施できるようになります。
そしてAmazonでブランド登録をするためには、商標権の取得が必要不可欠です。商標権はステータスが「存続」になってはじめてブランド登録できるようになります。
商標権の申請をしたことがある方は経験されたかもしれませんが、申請が通るまでには半年~長くて1年ほどかかる場合もあります。
そのため、ブランド名やロゴなど方針が決まったらすぐに商標権の申請をあげることをおすすめしています。
モール出店までに期間があるようでしたら、出店よりも先に申請をあげておきましょう。
2ヶ月ほど、低CPAが期待できる指名ワードを中心に広告運用を行いましたが、もちろんいきなり顧客獲得をできる訳ではありません。
(例としてあげたA社は、2ヶ月で20件に満たない転換獲得でした)
特に新規立ち上げのブランドの場合、まずはブランドの認知を拡大しなければ、売り上げを伸ばしていくことは難しいです。
そのためには、ブランド認知のない潜在層へ向けて、自社商品への流入導線を増やすことが必要となります。
例えば、ベンチマーク商品。
ライバル商材への広告露出によって、ターゲット属性が近いユーザーの目に止まるようになります。
この時に、頭に入れておいていただきたいのが、「初期は商品価格の2倍以上のCPAになり得る」ということ。
例えば誰もが知っているようなナショナルブランドの商品に広告露出をしたとします。
興味本位でユーザーの流入があったとしても、なんの実績もないブランドの商品を購入しよう、というユーザーの動きはあまり期待できません。
それでも広告露出をする意味はあるのでしょうか?
私の答えは「イエス」です。
それはなぜなのか、解説していきます。
Amazonでは、ベンチマークや一般キーワード(「美容液」「乾燥肌」など)との関連付けによって、自社商品で設定していないキーワードで検索した際に、自社商品も検索結果に表示されるようになります。
A社が、ベンチマークB社の商品に広告露出
→Amazon内で関連性があると判断されると、「B社の商品名やブランド名」で検索した際に、A社の商品も検索結果に出てくるようになる
このような関連付けが進むことで、自然と広告枠以外での自社商品の露出先が増え、長期的な目で見ると低コストで新規顧客獲得が期待できます。
ただし立ち上げ当初に無闇矢鱈に露出先を増やしても、広告費が増大するのみです。
そこで下記2点がポイントとなってきます。
①価格帯や商品ページ力が近いベンチマーク商品へ露出する
②一定の広告費(または目標値)に達したら露出を停止または最小CPCでの露出に切り替える
まず、注目していただきたいのが、価格帯や商品ページ力。
例えば、同じような訴求ポイントで価格が自社の半額の商品や、商品ページ力(レビュー数や商品説明の充実など)が自社商品を大きく上回る商品から転換を獲得するのは、初期段階ではあまり期待できません。
初期段階では、こまめな運用状況の確認と一定基準での運用方向の転換によって、ベンチマークへの露出にメリハリをつけることがカギになってきます。
A社はこれまでの1,2とフェーズに合わせて段階を踏まえた施策を実施したことにより、ブランド立ち上げ半年後には立ち上げ当初と比べて売上が実に10倍まで成長しました。
ベンチマーク商品との関連付けも進み、「B社の商品名やブランド名」で検索した際に、A社の商品も検索結果に出てくるようになりました。
さらに、オート広告にて「ベンチマークB社の商品」をはじめ他のベンチマーク商品経由でも流入、そして転換が確認できるようになってきました。
そこでCPA目標値を引き上げ、これまで広告費ばかりが増大し転換を獲得できていなかったベンチマークや、広告露出を停止していたベンチマークへのピンポイントでの広告露出を再開。その結果、立ち上げ当初は一切転換の取れなかったベンチマーク商材からも転換を獲得できるまでに、ブランド自体が成長していました。
現在は、スポンサープロダクト広告以外にも、スポンサーブランド広告やスポンサーディスプレイ広告という、それぞれ独立した広告枠への出稿によっても潜在層顧客へのリーチを広げる施策を取りながら、ブランド認知の向上を図っています。
ここまでブランドが成長できたのは、これまで記載してきた広告運用をはじめとした所詮コンサルタントのノウハウだけでは難しかったでしょう。
何よりも重要なのは「メーカーとコンサルタントが共創すること」。
A社側にも、さまざまな動きを取っていただいたことがブランドの成長につながりました。
より詳細が気になる方はぜひお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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