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楽天RPP広告とは?設定方法から注意点、運用のコツまで徹底解説

2024/09/13

こんにちは、chipper佐久間です。
D2Cコンサルタントとして、楽天・Amazon・Google・SNS広告などの運用全般を担当しています。

今回は、モール型EC「楽天市場」における「楽天内広告」について説明していきます。
第1回の今回は、楽天広告の中でもっともメジャーなRPP広告について、具体的なキーワード選定やCPCの考え方について説明していきます。

 

この記事はこのような方向けに書いています
  • 楽天店舗を任されたけど、どう広告を出していいかわからない人
  • 楽天の広告をひと通り覚えたけど、どのような考え方で運用して、具体的にどういう数字、キーワード設定をすれば良いかわからない人

 

私がこの記事を書いたきっかけとして、RPP広告について具体的な考え方の記事がなかったことがあります。
私が楽天広告についてまだ何も知らないとき、インターネット検索で楽天の広告について調べていました。
最初は、RPP広告ってどんな広告なんだろう? から始まり、どの位置に出るか、他にどんな広告があるかについて調べていました。

しかし時間が経つにつれて、RPP広告でより広告効果を出したいっ! となったとき、それを解決してくれる記事がありませんでした。
「楽天 RPP 考え方」「楽天 RPP 具体的」などのキーワードで検索をしても、RPP広告についての具体的な考え方がなかったのです。

この記事を読めばRPP広告で広告効果をあげたい方の、具体的な1つの考え方の指針となるはずです!
細かい話にはなりますが、RPP広告設定で悩んでいる方、RPP広告効果をもっとあげたい方は、ぜひ最後まで読んでいってください!


そもそも楽天RPP広告とは?

“楽天RPP広告とは、楽天が提供する広告サービスの一つであり、検索連動型(クリック課金制)の広告です。
楽天RPP広告では、楽天の広告配信プラットフォームを利用し、Webサイトやアプリなどで開かれる楽天市場内の検索結果に広告を配信することができます。

楽天が蓄積したデータをもとに楽天に訪れる個々のユーザーに対し、最適化された広告を配信することが可能なため、店舗売上における効果的な広告配信を実現可能です。

また楽天RPP広告は、広告主が最適なタイミングで最適な広告を配信することができるため、広告効果を最大化することができます。

例)
最適なタイミング:楽天スーパーSALEや楽天お買い物マラソン 等
最適な広告:出品している商品に関連するキーワードを指定し、出稿

そのため楽天RPP広告を利用することで、広告主は楽天の豊富なユーザーデータを活用して、ターゲットとするユーザーに効果的な広告を配信することができます。
さらに、広告のクリック数やコンバージョン数などの重要指標を計測することで、広告のパフォーマンスを把握し、改善することが可能です。

表示される数は、PCなら上位3商品、SPならば上位5商品までRPP広告が表示されます。

▼以下表示イメージ

※RPP広告の詳細なルール等については、楽天側が出している、店舗運営ナビをご参照ください。


RPP広告の設定、出稿方法について

“楽天RPP広告の設定・出稿方法については以下の流れで実施します。
1.管理画面にログイン後、楽天プロモーションメニューを開き、「検索連動型広告(RPP)」をクリック
2.キャンペーンをクリックし、「新規登録」を開く
3.入力必要な項目を記載し、登録をクリック

▼入力項目について
・キャンペーン名:特に指定はないため、自由に設定
・ステータス:すぐに配信したい場合は「有効」、その他設定等を実施後に配信したい場合は「無効」
・継続月予算:楽天RPP広告に使用可能な月予算を設定
・1クリックあたりの入札単価:楽天RPP広告を1クリックされた際に発生する上限の入札単価を設定

上記までの流れで楽天RPP広告の第一ステップにおける出稿は完了です。
その後必要に応じて、以下を設定することが可能です。
※ここでは設定順序を「キャンペーン作成」→「その他設定」の流れで実施しておりますが、順序を逆に設定することも可能です。

その他設定については、以下の設定が可能です。
・「商品別入札単価」設定:商品別に入札単価を設定
・「商品別配信キーワード」設定:商品別に商品関連キーワード等を1商品あたり最大10個まで設定
・「商品別配信対象除外」設定:楽天RPP広告にて配信したくない商品を除外設定


RPP広告の注意点

“楽天RPP広告の主な注意点として、以下が挙げられます。
・キャンペーン登録だけでは全商品が配信対象として設定される
・月予算については日別で平均的に配信されることはなく、入札単価、市場へのユーザー流入状況により、予算消化のスピードに変動がある
・配信キーワードを設定しても、推奨入札額が表示されない

上記注意点における内容と対策は以下となります。
▼キャンペーン登録だけでは全商品が配信対象として設定される
こちらについては、仕様上特に商品除外設定等を行なっていない場合、キャンペーンが有効の状態であれば出品している全商品が広告配信対象商品として設定されます。
そのため広告配信をしたくない商品については、キャンペーンを有効にする前にあらかじめ除外設定をしておきましょう。

▼月予算については日別で平均的に配信されることはなく、入札単価、市場へのユーザー流入状況により、予算消化のスピードに変動がある
楽天RPP広告では日予算での予算設定ができないため、設定している月予算に対し、設定している上限入札単価にて常にMAXで出稿が実施されます。
つまり楽天内におけるビッグイベント等のモール内流入が増加するタイミング等では、広告配信が増加し急激な予算消化を引き起こす可能性があります。

そのため予算消化の調節については、あらかじめイベント等の流入が増加するタイミング等にて入札単価を調整し、配信拡大・縮小を実施するタイミングを決めることで予算消化を予測し、設定することで適材適所に効果的な配信が可能です。

・配信キーワードを設定しても、推奨入札額が表示されない
配信キーワードにおける推奨入札額については、商品別に変動があります。
その理由についてはいくつかありますが、商品の売上等の販売実績、商品との関連性等が大きく影響していると考えられております。

そのため登録したばかりの商品や、全く関連性が低い商品等については推奨入札額が表示されないケースもあります。
表示されない理由については、キーワード登録時に※印で理由の記載があるため、理由に対する対策を打っていきましょう。


商品数による考え方の違い

早速、本題に入ります。
あなたが担当している楽天店舗の商品数はどのくらいでしょうか?
商品数によって、RPP設定の考え方が変わってきますので、商品数はとても重要な要素の1つです。
商品数が少ない場合は、1つ1つの商品について細かく見ることができますが、商品数が多くなるとそうはいきませんよね。
次の章から、商品数ごとの考え方を説明していきます!

 

RPPの設定について(商品数が少ない場合:商品数1~30くらい)

商品数が少ない場合の前提となる考え方は、「1つ1つの商品を最適化する」です。
まずRPPの最初の設定についてです。
最初に大事な前提として、RPP広告は最初から高い効果が現れることは少ないです。
Web広告全般に言えることですが、広いところから、狭く効果が高いところに向かって検証を繰り返しながら進んでいきます
最初はROASやCPAが悪くなることが多いですが、適切なフローを踏んでいけば、だんだん改善していきますのでそこは許容することが必要です。
それでは早速、具体的な運用の考え方について共有していきます!

 

①まずキャンペーンCPC設定について、最初は25円で設定

25円で設定して数日運用してみて、広告予算をどの程度消化するかを見ましょう。
※6日運用した場合なら、広告予算全体の約20%消化しているのが望ましいです。

キャンペーンCPCの変更

予算消化のスピードによって、キャンペーンCPCを20円に下げたり、逆に予算消化が遅い場合はキャンペーンCPCを30円にあげましょう。
(もちろんそれ以上でも以下でも大丈夫です)

③個別商品のキーワード設定

楽天内で検索したときに表示させたいキーワードをいくつか設定しましょう。
このとき設定するキーワードCPCは、目安CPCに設定します。

※上の画像はヘアアイロンについて関連するキーワードを設定しています。

④しばらく運用(2週間程度)

⑤パフォーマンスレポートをダウンロード

集計単位:キーワード別
絞り込み:指定商品(調べたい商品管理番号を入力)

⑥広告効果を確認

⑤の条件で検索を行うと上記画像のように、キーワード別の結果が表れ、広告効果の高いキーワード・低いキーワードが判ります。

ROASが高い場合:キーワードCPCを上げて、もっと攻めた運用をします。
ROASが低い場合:キーワードCPCを下げて、露出を減らし予算消化を抑えます。
※個人的にROASは300%を目安に、高い低いを判断しています。
※ジャンルや商材特性により適正ROASは異なるため参考程度にしてください。例えば、リピート比率が高く、顧客獲得コストの高い美容品や健康食品系のジャンルにおいては、ROASよりもCPO(顧客獲得コスト)の方が適正な判断基準となります。
※その他同ジャンル店舗が出しているRPP広告を観察しながら、キーワードCPCを調節し、露出をかけて検証を繰り返していきます。

⑦日々楽天内の状況は変わるため、定期的に上記の設定を見直しながら運用

※キーワードの考え方・・・例えばワンピースを売っているならば「ワンピース」というキーワードは競合が多く、ビックキーワードとなります。
逆に「ワンピース カジュアル 大学生」などのように、キーワードを絞り込めば絞り込むほど競合は少なくなり、そのワードはスモールワードとなります。

ビックワードで広告効果が高い商品は稀で、そのジャンルのTOP商品くらいしか広告効果が高くありません。
RPP広告ではいかに、売れるスモールキーワードを見つけ、そのキーワードのキーワードCPCを最適化していくかが鍵となります。
良いスモールキーワードを設定し、販売実績上げていけば、評価数や楽天内SEOで上位表示されるようになり、ビックワードでの広告効果も期待でき利用になります。

 

RPPの設定について(商品数が多い場合:30~)

上記でRPP広告の運用の流れを説明しましたが、商品数が多いと、どの商品にどのキーワードをつければ良いかがわかりにくいです。
その場合は、キーワードをある程度のグループ分けをして考えることをお勧めします。

①上記商品数が少ない場合の①、②と同じ運用

②売れ筋商品をキーワード登録

店舗全体で売れている商品を登録します。(約10商品)
そして各商品ごとに、関連キーワードを目安CPCで設定します。

③しばらく運用(2週間程度)

④全キーワードレポートダウンロード

集計単位:キーワード別

全キーワードレポートをダウンロードし、

ダウンロード履歴からレポートをダウンロードします。
このレポートからは、顧客がどのようなキーワードで調べて流入したが判ります。

※RPP広告だけでなく、店舗へどのようなキーワードで流入しているかのレポートもダウンロードすることによって、より網羅的に自店舗に対して効果的なキーワードを探すことができます。

⑤キーワードをグループ分け

例えば、スマホケースの店舗だとしたら、
コラボ名+スマホケース、機種名+ケース、スマホケース+韓国訴求、機種名+ケース+コラボ名…etc
上記のように流入しているキーワードをいくつかのグループ分けをします。

⑥ExcelでVLOOKUPとピボットを使ってグループごとの効果を調べる

ExcelでVLOOKUP関数を使用し、流入キーワードにグループ名を当てはめて行きます。
そして、出来上がった表でピボットテーブルを作成して、効果を集計します。

※実際はレポートをダウンロードするので、上記の表にアクセス数、CTR、ROAS、CPA、売上などが付属しているイメージです。
上記の表でピボットテーブルを作成したり、グラフを作成することによって、視覚的に運用効果を見やすくなります。
まとめたものを見ながら、変更した方が良い部分の予測を立てていき検証を繰り返して、最適化を図ります。

効果改善に向けた数値の確認方法

RPP広告の成果を上げるために確認すべき指標として有効活用できる指標として、ROASやCPOもROI(投資収益率)判断指標として重要な指標になりますが、こと広告の成果改善においては別の指標にすべきです。具体的に推奨する指標はCTVR(クリックスルービジットレート)です。

CTVRとは、CTR(ユーザーに表示された広告のうち、ユーザーに広告をクリックされた割合※RPP広告においてはサムネイル画像が該当)とCVR(転換率)を掛け合わせた指標で、「クリックや購入へ、総合的に最も貢献したクリエイティブはどれか」を示す指標となります。

計算式は下記の計算方法で算出できます。
CTVR = CTR × CVR

RPP広告の場合、成果をあげるためには広告クリエイティブがどれだけクリックされたのか?に影響されます。また、ただクリックされただけでなく、クリック後に商品ページを見てもらい実際の購入にどの程度繋がったか?を両軸に判断する必要があります。
CTRとCVRを独立して判断すると下記のような課題があります。

  • クリック率は上がったけど、CVRが下がってしまった → 無駄なクリックだけが増加し、広告費が嵩んでしまう
  • 高い転換率は維持できているけど、クリックされていない → 限定的な消費者にしか広告が届いておらずROASはいいが、売上拡大に寄与しない

こういった問題がよく発生します。
そのため、独立して指標を判断してしまうと、正しい改善に向けたアクションに繋がらないのです。CTVRを指標にした場合、改善に向けたアクションで意識すべき点は下記になります。

  • 購買に繋がりやすいキーワードはなにか? → 例えば、「NIKE スニーカー」で検索した人にadidasのスニーカーが表示されてもクリックがされにくいことは想像がつくと思いますが、商品名になんでもかんでも対策キーワードを入れるのは間違っており、正しくターゲットやペルソナを想定したキーワードの設定をしましょう。(RPPは表示させたいキーワードのマニュアル設定もできますが、自動配信は商品情報を参照し表示されるため、商品ぺーじ内のキーワード対策も重要になります)
  • ターゲットに刺さるサムネイル画像になっているか? → 成果が出るサムネイルが見つかるまで細かいコピーの微修正を加え、PDCAを回しましょう。キャッチコピー表現1つで成果が倍になることも往々にしてあります。
  • 商品ページの訴求とサムネイル画像の訴求にズレがないか? → 広告でクリックが取れたとしても、商品ページ情報と広告訴求でギャップが生じれば、当然期待値が下がり転換率の減少に繋がります。内容の整合性は必ず確認しましょう。

ちなみにRPP広告で成果を出す=楽天内のSEO対策にも通じます。(SEOを引き上げるロジックの中に、キーワード経由のCTVRが要素として含まれるため、RPP広告で成果を上げるための改善行動が結果的にSEO向上にも繋がります。)

よりCTVRに関する詳細が知りたい方はこちらの記事で解説しておりますので参考にしてみてください。

最後に

最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございます!
上記で紹介した方法は、あくまでも私個人のやりやすい運用の仕方であり、絶対的な正解というわけではありません。
また、考え方の部分をメインで記載したので、細かい設定やExcelの使い方については触れませんでした。
考え方が分かれば、その先のソフトの使い方は慣れればすぐ身につくはずです。
なんとなく感覚で運用を行なっていくよりは、広告効果が上がりやすくなるはずなので、ご参考になればと思います。

RPP広告で獲ることのできるお客さんは、あくまでも顕在層です。潜在層の獲得には向いていません。
RPP広告で獲得できるお客さんは、キーワード検索から入ってきた方のみなので、お客さんのパイはどうしても狭くなってしまいます。
RPP広告だけをやっていれば店舗全体の数値を伸ばせるわけではないので、網羅的な施策が必要となります。

楽天には、顧客数を広げることが得意な広告もありますので、そちらについては、次の記事で書きたいと思います。

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