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ECサイト構築に使える「IT導入補助金」について解説します

2021/06/28
IT導入補助金

新型コロナウイルスの影響で、これまでリアルタイム店舗での売上がメインだった多くの会社が、売上の減少に悩まされています。

一方、巣ごもり需要により、ECサイトでの売上は上昇傾向にあります。
総務省の調査では、EC購入に利用する消費額は2021年2月の前年同月比で+22.8%増加しているとのデータが発表されています。

総務省統計局「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯)-2020年(令和2年)12月分等結果

 

当然、新たにECサイトの解説を検討している企業は多く、弊社にも多数のお問い合わせが来ています。
今回は、ECサイト構築で使える「IT導入補助金」について、どのような費用が対象になるのかや、申請方法などについて解説をします。

少し長いですが、こちらを読んでいただくことで、ECサイト構築でIT導入補助金を利用する際のポイントを抑えていただくことが可能です。

もしIT導入補助金以外の補助金に興味ある方は、こちらの記事も参照ください。

 

この記事はこのような方向けに書いています
  • 「新たにECサイトを作って商品を売りたい!」と思う方
  • 「でも初期にかかる費用が不安…」と思う方
  • 「かけた費用が回収できるかわからない」と思う方

 

IT導入補助金とは

ITツールを導入する際に、国から支援される補助金です。
ツールや目的によって、A〜Dの類型に分けられ、それぞれで補助額や下限額・上限額が異なります。

ECサイト構築は基本的にはC類型に分類されるため、補助率は申請総額の2/3、30万円〜450万円の費用が補助されます。

ECサイト構築で対象になる費用は、「ITツール利用費用(カート利用費用の1年分)」「サイト制作費用」が対象となります。

 

本記事では、

「どんな会社が対象となるの?」
「どんなツールが対象となるの?」
「どうやって申請したらいいの? 注意事項は?」
「どうすると通りやすい?」

という4つのポイントについて解説させていただきます。

 

どんな会社が対象となるの?

対象となる企業

IT導入補助金の目的は「日本全国の中小企業・小規模事業者のIT化による業務効率化や売上アップを支援する」というものです。
そのため、対象となるのは「中小企業」「小規模事業者」となります。

定義としては基本的には中小企業基本法に準じたこちらの定義となります。

下記の例外を除き、従業員数50人未満で資本金5,000万円以下の場合は対象となりますのでご安心ください。
(業種によって従業員数や資本金の規模が異なります)

また、特に設立年度の記載はありませんが、申請書類の中に「前期分の法人税納税証明書」が存在するため、設立1年以上経過していない場合は提出ができないため実質的に対象外となります。
これは、補助金の獲得のみを目的として、実態のない会社を設立するような不正を防ぐための防止策と思われます。

 

対象となる企業の例外

目的は中小企業の支援であるため、上記条件に当てはまっていたとしてもみなし大企業と判断される場合は対象外となります。
みなし大企業とはなんでしょう? IT導入補助金事務局の記載から引用します。

①発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
②発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
③大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
④発行済株式の総数又は出資価格の総額を①~③に該当する中小企業・小規模事業者等が所有している中小企業・小規模事業者等
⑤①~③に該当する中小企業・小規模事業者等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業・小規模事業者等
⑥確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者等

要は、大企業の子会社だったり、資本関係はなくても役員が過半数を占めている「実質子会社」であったり、大企業相当の利益を出している場合は対象外ということです。

 

どんなツールが対象となるの?

どんなITツールが対象となるかをご説明するために、まずはIT導入補助金の仕組みをご理解いただく必要があります。

①(弊社のような支援事業者が)IT導入支援事業者に申請・認定される。
②支援事業者に認定された後、ITツールの申請・認定をする。
③認定されたITツールのみ、申請が可能となる。

という流れとなります。

 

更にこれらに加えたルールがあり、

  • 申請は1つの支援事業者経由からしかできない(2つ以上の支援事業者にまたがって申請はできない)
  • 支援事業者が申請していないツールは対象とならない
  • 同じ年のIT導入補助金は一回しか使えない(落ちた場合の再申請は可能)

このような仕組みのため、対象となるツールについて聞かれても「支援事業者に聞いてください」と答えるしかできないため、必然的にどの事業者を選択するかが非常に重要となります。

事業者やツールはこちらで一覧化されていますが、検索がとてもしづらいため、現時点(2021年5月時点)では、実用的とはあまり言えないため、「ECサイト IT導入補助金」などで検索をかけて、検索に出た会社に片っ端から問い合わせていくしか有用な方法がないのが実情です。

 

ECサイト構築で使えるの?

こちらの記事をご覧になっている皆様が求めている情報は「結局ECサイト構築で使えるの?」だと思います。

結論から言えば「使えますが、制限はあります」という回答となります。
さて、どのような制限があるのでしょうか?

①既存サイトのリニューアルでは使えません。新規構築時のみ対象となります。
もしリニューアルであることを隠して虚偽申請をした場合、審査非通過だけでなく、今後補助金を利用できない可能性がありますのでご注意ください。

②当然ですが、ショッピング機能がある場合のみ対象となります。
作成したサイト上で購入ができない場合、コーポレートサイトとみなされ、対象となりません。

③C類型もしくはD類型のみとなります。(弊社ではC類型のみで申請しております)
豆知識的に背景を説明します。毎年実施しているこちらの補助金では、以前はA類型とB類型しかなく、ECサイトは基本的に対象外でした。
昨年よりコロナ対策として新しく作られたC類型D類型で、低感染を目的とした非対面ビジネスとしてECサイトが公認されたという事情があります。

また、株式会社chipperでは「Shopify Experts」というShopifyのパートナー登録をしており、基本的にはShopifyの利用を前提としてIT導入補助金の利用が可能です。
Shopify以外のツールでも申請可能ですので、お気軽にこちらからお問い合わせください。

 

どうやって申請したらいいの? 注意事項は?

IT導入補助金に限らず、経産省関連の全ての補助金に対して同様の注意事項があります。
それは「申請→審査→通過→契約→構築」の順番から一つでも逸れていると対象とならない、ということです。
通過した後の契約・構築開始をしないと対象となりません。

補助金利用時によくありがちな問い合わせで、「◯月にEC販売を始める予定なのですが、IT導入補助金を利用したいのですが可能でしょうか?」というものがありますが、『◯月』の時期にもよりますが、EC販売を開始するスケジュールが決まっている場合、上記の順番の都合上、難しいケースが多いです。


補助金申請に必要なフローと期間をご説明します。

①gBizIDプライムの申請・取得(約2週間)
こちらからIT導入補助金の申請のために必要なIDの取得を行います。
印鑑証明と印刷した必要書類を送付するのみとなりますので、難易度は高くありません。

②支援事業者と、申請するITツールと金額の確認(約2週間〜1ヶ月)
いわゆる要望と見積の確認を行います。

③支援事業者にマイページを発行してもらう

④交付申請情報の入力・交付申請(約1週間)
下記書類が必要となるため、事前に準備をお願いします。
・履歴事項全部証明書(交付申請日から遡って、3か月以内に発行)
・法人税の納税証明書(直近分のもので、税務署の窓口にて取得)

⑤通過可否連絡(約1ヶ月)
申請〆切から約1ヶ月で結果の連絡が来ます。メールでのみ連絡が来ますので見逃さないように気をつけましょう。

⑥支援事業者に正式発注・入金
ここが非常に重要です。
正式契約や入金がこれ以前だった場合、基本的に補助対象となりません。
この後、実績報告(ECサイト完成後)の際に、入金の際の振込明細の提出が必須となりますが、その日付が通過日以前だった場合、対象費用となりません。
C類型・D類型には遡及申請という制度もあり、契約や入金が通過以前でも対象とできる制度もありますが、遡及対象とならないこともあるとの注意書きがあるため、リスクが高く、存在しない物と考えた方が無難です。

⑦サイト構築(約2ヶ月)
弊社のような支援事業者と一緒に、サイト構築を行います。
決済部分の審査が1ヶ月程度かかるため、構築と並行して冒頭に申請を行ってください。

⑧実績報告
補助事業完了の実績報告を行います。
申請内容に対しての細かいスクリーンショットの添付などを行いますが、ほとんどの確率で差し戻しをされることを覚悟して申請を行ってください。

⑨補助金交付(約1〜2ヶ月)
実績報告完了後、約1ヶ月で申請していた補助額が入金されます。
IT導入補助金の公式ホームページには、入金までの期間は明示されていませんが、弊社の過去の支援実績としては、平均1ヶ月、長くても2ヶ月以内には入金されるケースがほとんどでした。

以上がIT導入補助金の一連の流れとなります。

 

どうすると通りやすい? 3つのコツ

弊社の過去の経験則から「通りやすい申請内容・方法」があると考えています。
IT導入補助金の採択率ですが、一般的には35%程度と言われています。(正式には公表されていません)
「通りやすい申請内容・方法」を意識・実践することで、通過率を劇的に上げることが可能です。

※不採択時の理由は公開されないため、あくまで採択不採択案件の共通項から導いた仮説であることを承知ください。


①IT導入補助金の要綱をよく読んで申請内容を書いている

補助金の審査では、「要綱通りの内容かどうか」という観点が最重要視されます。
申請内容をチェックする際、要綱と合致しない申請・会社であるかどうかをまず見られ、合致しなかった時点で内容は見られません。

ただ、皆様お忙しい中、内容が膨大な要綱をじっくりと読んでいる時間はありません。
そこで弊社では、要綱をよく把握している中小企業診断士の先生によるパートナーシップ契約を締結することで、申請サポートを完全成果報酬で実現しました。
先生の診断を受けながら、経営状況に対しての最適な申請内容を一緒に考えていただくサポートを受けることが可能です。


②過剰な申請額になっていない

補助金申請でありがちなことですが、2/3も支援してくれるなら…とついつい欲が出てしまい、あれもこれもと申請内容に入れたくなる会社様が非常に多いです。
お気持ちは充分理解できますが、このケースはやはり事務局に見透かされ、通過率が大きく下がる傾向にあります。
おそらく事務局の方で有識者からのアドバイスを受け「適正値」などの何かしらの基準値があると予想されます。

例えばECサイト構築で300万の申請を行った場合、そこに何らかの合理的な理由がない場合、不採択となってしまいます。
弊社では、ある程度の最適値も過去の経験則で持っているため、通過を考慮したお見積り・申請内容をサポートすることが可能です。


③コロナウイルスに対しての影響・対策を入れる

これはC類型・D類型に限った話ですが、ECサイトはこちらの類型のみであるため、ECサイトで申請をする場合は、必ず入れてください。
理屈は単純です。C類型・D類型は「低感染リスク型ビジネス枠」であるためです。

この枠で求められていることは、「コロナウイルスの影響を受けている事業者」であり「コロナウイルスに対応するために非対面ビジネスを推進すること」の2つの条件を満たしていることです。

昨年での同枠では、こちらの基本条件を忘れて申請内容を書いてしまっていた方が、軒並み不採択となっていました。


chipperではECサイト構築×ブランディングノウハウを活かしながら、補助金に関する経験・知見を加え、D2Cグロースハックの盤石なサポートを行うことができます。

今回の記事としてはオープンにできないような裏情報もありますので、ぜひご興味ある方は、下記のボタンよりお問い合わせください。

※IT導入補助金単体のご質問は事務局へ直接お問い合わせください。
弊社ではECサイト構築を含めた、支援事業者としてのご質問にご回答をさせていただきます。

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