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新規事業立ち上げにおける課題解決型思考と問題提起型思考の使い分け

2021/05/23

こんにちは、chipperの十時です。

普段、新規事業立ち上げのご相談をいただく際に、そもそも、こういったものが流行っているからという軸だけで進められていたり、自社のプロダクトばかりに目が向き、本質的な課題を見失ってしまっている状態で相談を受けるケースがよくあります。

弊社でプロジェクト推進させていただく際に、毎回なぜこの事業を進めるのか?「問いを立てる」ところから始めます。しかし、問いを立てるといっても軸がないと抽象度が高くなってしまうことも多くあります。今回は問いを導き出すための2つのアプローチについてまとめようと思います。

 

この記事はこのような方向けに書いています
  • 既存事業とは別に新規事業を立ち上げることをお考え中の経営層
  • 新規事業でアイデア出しに困っているご担当者様
  • イノベーションを生む事業を作りたい方

 

課題解決型思考と問題提起型思考

よく、課題解決の思考法として、デザイン思考やアート思考という言葉が使われますが、とっつきにくいため言い換えてみると、課題解決型思考と問題提起型思考と捉えることができると思います。ここでは、下記のように定義したいと思います。

課題解決型思考(=デザイン思考)

課題解決のために「なぜ?」から深掘りして、適切な答えを導き出すし思考です。現状課題に対して何かしらかの課題や問題があり、そこから逆算して目標を立てます。つまり、問題解決のゴールを定義した上で、その問題に対して課題を立てにいくアプローチといえます。特徴としては、目標と現状の差分から、課題設定を行うといった点です。

KGIやKPIなどの目標設定と親和性が高く、コンサルタントやマーケターはこの思考性を持つ方が多いと思います。

 

問題提起型思考(=アート思考)

問題提起型思考とは、解決したい問題や、目標を明確に定めず、より広い視点を持ちながら、長期的に本質に対して探究していく思考です。どちらかというと、自分自身の興味・関心を軸にしながら問いを立て、好奇心を源泉に答えのない命題に向き合うことを重要視する考え方です。課題解決型思考をSolutionを導き出す考えとしたときに、問題提起型はQuestionを追求します。

イメージで例えると下記の通りです。課題解決型思考は、自ら問題提起するため、既知の範囲における極大値(問題)を定め、課題解決に動く一方で、問題提起型思考において視点が向くのは未知の領域の問題になります。そのため、問題提起型思考は、イノベーションを起こすという観点においては有効な思考性と考えられます。

ただし重要なのは、どちらが優れているというわけではなく、両方の思考をうまく使い分けることで、問いの解像度を高めることです。

イノベーションについてはこちら:イノベーションが生まれる組織の在り方。知の深化と知の探索

課題解決型思考と問題提起型思考

 

なぜ?を追求し、事業化するまでに必要な思考シフト

課題解決型思考と問題提起型思考について定義しましたが、前述の通り、どちらが優れているということではなく、両方の思考をうまく使い分けることで、問いの解像度を高め、事業に落とし込んでいくプロセスが重要です。

1.問題提起型思考で問いを定義する

イノベーションについて、以前書いた記事で、ものごとの「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」を創出することと定義しておりますが、既知の目標との差分から問いを立てる課題解決型のアプローチではイノベーションを起こすという観点で行った場合に問題提起の方法としては適切ではありません。

イノベーションの本質は、既存事業では見えていない知の探索からスタートします。

そのため、新規事業を起こす最初の出発点において有効なのは、未知の領域に目を向けるアプローチである問題提起型思考といえます。

そのため、初期の探索しているフェーズにおいては、具体的な数値目標を定めず、興味・関心に基づいたデータ収集、プロジェクトチーム全体での視点を変えた解釈を加えながら、プロジェクト全体の方向性の定義を行なっていくアプローチが非常に重要です。

冒頭で記載した、安易なマーケットインの考え方やプロダクトアウトの考え方はこの視点が抜け漏れているケースがほとんどですので、イノベーティブな新規事業を立ち上げたいとお考えの方は、まずはすぐ事業化させたい気持ちを飲み込んで、方向性を探索するプロセスに注力することを強く推奨します。

2.方向性が定まったら、課題解決思考で問いを立て直す

事業の推進していく方向性が見定まった段階で、ようやく具体的にどのような方法でそれを実現していくかを深掘りするフェーズに入ります。問題提起型は自由な発想や興味・関心を軸に探索しますが、それだけではプロジェクトは一向に進行しないため、改めて課題解決型思考にシフトした上で、問いを立て直すことが重要です。

終わりに

今回は、課題解決型思考と問題提起型思考についてまとめました。それぞれが問いに対する向き合い方が変わるので、結果的に同じ答えにたどり着くこともありますが、重要なのは問いの落とし込み型の思考性が違うということです。IT業界でビジネスをしていると、圧倒的に課題解決型思考の方が多いように思えますが、イノベーティブな新規事業を立ち上げる上では、課題解決型思考だけの問いの落とし込みでは面白いアイデアは生まれにくいと思います。両方の思考性を事業立ち上げフェーズに合わせ使い分けることでぜひ面白い事業を生み出していっていただけると嬉しいです。

今回は思考性についてまとめたものの、具体的な実践はどう落とし込んでいくのかという点については触れていません。また別の記事にて、各プロセスについての具体的な落とし込み方についてまとめていきたいと思います。