こんにちは、chipperの西田です。
D2C展開には欠かせない広告と非広告(PR/広報)について。
広告と非広告ってどう違うの? 多くのD2C・EC事業者が、実は意外とこの点を明確にせずに商品展開をスタートしてしまうことが多いです。
その結果、知識不足で広告でまかなうべき領域と広告でまかなうべきではない領域を見極められず、広告運用代行会社に運用費用を搾取されてしまっているEC事業者を、私たちは多々見てきました。
この記事はそういった危険を防ぐための入門編としての役割を持たせています。
またベテラン(?)の方にとっても、改めて思考を整理をするという意味で有用な記事となっていると思います。
社内向けの整理も含めて「広告」と「非広告」についてまとめてみました。
広告の詳しい種類と活用方法については、別記事にて解説します。
本記事は、あくまで全体像についてまとめます。
2021年現在、WEBマーケティング全盛の時代はもう過ぎ、既にある意味一周回っている状態です。
ネイティブアド(一見すると広告っぽく見えない広告)などもあり、更にアフィリエイターによるコンテンツなどもあり、広告と非広告が入り乱れて、詳しくない人にとってはWEB業界は非常にカオスな状態になっています。
皆さんの頭の中も(私の頭の中も)この状態から始めるとカオスのまま進んでしまうため、少しずつ整理をしていきましょう。
まずは本記事で取り上げる、マスメディア・検索・動画・SNSという4つの軸を、広告非広告に分類し、8つにまとめてみました。
WEBマーケティングという概念が出る前の時代(1990年代)、世の中の広告はほぼマスメディア広告が主流でした。
マスメディアとは、テレビ・新聞・雑誌・ラジオの4媒体を指します。
ようやくインターネット広告が出始めた2000年の日本の広告費の推定調査では、約99%に近い数字がマスメディア広告費でした。
それがインターネット広告の普及で状況が変わり、2021年時点ではインターネット広告の方がマスメディア広告より市場規模が大きいとまで言われています。
マスメディア全盛の時代から、インターネット広告が盛んになってきた背景は主に下記となります。
特に大きいのが、データ分析の部分となります。
従来のマスメディア広告は、その名の通り「マス」に向けて発信するため、その広告によって商品が実際に売れているのか、効果の正確な測定ができませんでした。
そのため「なんとなく広告費を使わないと不安」という不安感から広告費が使われていました。
ただ、それしか選択肢がなかった時代だったため、誰も疑問に思わず、誰もその状況を変えることができませんでした。
2000年より台頭してきたインターネット広告では、技術の発達も追いついたことで、徐々に非常に正確な計測ができるようになりました。
何人の人がどういうページを経由して広告を閲覧してくれて(imp)、何人の人がクリックして(CTR)、何人の人が買ってくれたか(CVR)が正確に測ることができるため、広告対売上(ROAS)や広告対利益(ROI)が計測できるようになりました。
これにより、どの広告にどのように投資するといいか、企業の投資判断の基準を見える化することができるようになりました。
これがWEBマーケティングの簡易的な歴史です。
さて、歴史はこれぐらいにしておいて、上記A〜D、a~dの違いについて見ていきましょう。
大前提として認識していただきたい点として、広告と非広告のどちらの方が信頼性が高い情報と判断されるのか、ということです。
皆さんは「広告で表示された商品」と「SNSの友人が買ってよかったと言っている商品」とどちらを買いますか?
考えるまでもなく、後者ですよね。
(稀に前者という人もいますが、一般的な多数派を前提として話を進めます)
「広告」は広告主がお金を払って良い点をアピールするための枠です。
それに対して「非広告」は、一般的にお金で買うことができないため、情報としての信頼性が高い傾向にあります。
A〜D<a〜d の優先度で信頼性が高い情報であるということを、まずは意識してください。
マスメディアは、主にテレビや新聞などのマス向けのメディアです。
テレビで言えば、番組そのものは非広告で、CMは広告です。
新聞で言えば、記事は非広告で、紙面は必ず広告枠があります。
一般向け検索システムで検索を行って表示される広告です。
一般向け検索と言って思い浮かぶのはGoogleとYahooが代表的ですが、実はこの中身の検索エンジンは一緒になっています。
WEBマーケティングの黎明期から、GoogleとYahooは検索エンジンにおいて苛烈な争いを繰り広げていましたが、2010年にYahooが自社の検索エンジンを廃止し、Googleの検索エンジンを採用することを発表しました。
事実上の検索エンジンGoogle一強時代の到来です。
検索した際に最上部に「広告」と書いて表示されるのがいわゆる「リスティング広告」と言われる物です。
それ以外はGoogleのクローラー(サイトを巡回するシステム、とでも覚えておいてください)が検索した際に上位に表示した方がいいと判断した内容が順番に表示されます。
Googleがどういうロジックで上位に表示するかを理解して、上位に表示させるように色々と頑張ることをSEO(検索エンジン最適化)と言います。
※具体的なSEOの手法については、それだけを専門としている会社の記事の方が詳しいと思いますが、D2CにおけるSEOについてはまた別記事で解説します。
また、SEOという言葉だけを切り取ると、一般的にはGoogleを思い浮かべますが、各プラットフォームごとにSEOを攻略する必要があります。
D2C・ECという文脈では、具体的には「楽天SEO」や「AmazonSEO」が攻略対象となります。
また、これらのプラットフォームでは、同時に「楽天広告」「Amazon広告」も考える必要があります。
つまり、WEBマーケティングにおける「プラットフォーマー」とは、プラットフォーム内SEO対策・プラットフォーム内広告配信が可能な媒体のことと言い換えてもいいかもしれません。
SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービスの略称で、Instagram・Twitter・Facebookなどがその代表とされます。
(なお、Instagramは立ち上がってすぐにFacebookに買収されたため、2つのサービスの棲み分けはされていますが、内部の広告システム等はほぼイコールとなっています)
こちらはInstagramの例ですが、基本的にどのサービスもスマホで利用されることを想定されていて、
タイムライン上で、フォローしている人の投稿と並列になって、広告が表示される仕組みとなっています。
一般的にSNS上での広告は「ソーシャルアド」という呼称で大分類されます。
(個人的にソーシャルアドという言い方がダサくて好きでないのでSNS広告と書かせてください)
動画広告と言えば、主に思い浮かぶのはYoutubeでしょう。
ちなみにGoogleがYoutubeを買収したのは2006年のことです。
当時は買収額が約1,650億円と高額だったことで相当話題になりました。
Youtubeに投稿される動画は、そのほとんどが非広告です。企業のPRなどにもよく使われますが、一部広告としての目的を前提として投稿される動画もあります。
一方、動画再生時や間に流れるCMなどは「インストリーム広告」と言って、PC閲覧時に右上に出てくる広告は「ディスカバリー広告」と言います。
さて、この後各広告などの使い方の分類の解説に入る前に、ここで一つ疑問を呈したいと思います。
Google SEO対策について非常に多くの記事が出ており、さもSEO対策が最重要であるかのような記事も見受けられます。
確かに一つの認知を図る手段として重要であることは否めません。
一方で、SNSや動画の普及によって、「Twitterで情報収集をする」「Instagramで場所を探す」「Youtubeでノウハウを学ぶ」というニーズが圧倒的に増加しました。
それを示すデータがこちらです。2016年から2019年の間、Googleの検索によるトラフィックは、右肩下がりで顕著に下がっている傾向にあります。
引用元:https://sparktoro.com/blog/how-much-of-googles-search-traffic-is-left-for-anyone-but-themselves/
これにはいくつかの理由があります。
特にゴミコンテンツの量産は、非常に由々しき問題だと考えています。
私も職業柄、クライアントのD2C展開の初期調査等で様々な検索を行いますが、検索した時に出るコンテンツにいつも驚きます。
全く具体性のない、他記事のリライトコンテンツが非常に多いです。
結果、自分で色々なデータベース抽出ツールを使ってデータマイニングを行うのですが、これが時間がかかるため、本来ですとWEB検索で欲しいコンテンツが落ちていることが理想です。
Googleも、より良質な記事をユーザーに提供できるよう、常に検索エンジンのアップデートを繰り返していますが、SEO対策で上位を取って広告収益で儲けるような悪質な業者とのいたちごっことなっているのが現状です。
そのため、個人的には「SEOは一つの要素として意識する」ぐらいがちょうどいいと思います。
記事において最も本質的なことは、SEOで上位を取るということではなく読者に対して良質な情報を提供するということのはずです。
それが最も重要であり、Googleもそういった良質なコンテンツが上位に表示され続けられるようアップデートを継続してくれると信じましょう。
インターネット台頭までのマーケティングは、「AIDMAモデル」が主流でした。
しかし、現在は「欲求」が起きたらすぐ購入ができ、「記憶」せずともその場で購入ができるため、このモデルは古いと言われています。
その代わりに「AISASモデル」が主流となっています。
「目に留め」「興味を持ち」「検索して比較を行い」「購入し」「シェアをする」という一連のフローこそが、非認知から顧客になるまでの王道フローとなっています。
さて、いよいよ本記事の集大成です。
AISASモデルに則った時の、各広告・非広告の役割についてまとめた決定版がこちらです。
中央はAISASモデルをフェーズ別に分けています。
左側は顧客のステータスです。非認知層-潜在層-顕在層-顧客層となっています。だんだん顧客ボリュームもシュリンクしていくようになっています。
右側は、ここまで分類してきた広告非広告です。灰色が広告で、黒が非広告となっています。
認知フェーズでは、とにかく露出を行うことが最重要です。
主なKPIはimp数(どれだけ多くの人の目に触れたか)となります。
金銭的余裕があれば、マスメディアも有効な戦略となります。WEB媒体としては、動画広告や純抗告・SNSでのインフィード広告などが有効です。
その後、ディスプレイ広告やリターゲティング広告で興味関心を持ってもらいます。
検索した際に上位表示されるように、リスティング広告やオウンドメディア記事等のSEO対策も重要です。
最終的に商品購入に至らせるために、アフィリエイト広告は有効な手段です。
しかし、いかに商品が良くてもアフィリエイターさんが頑張ってくれても、サイトのUIが悪かったり購入しづらい購入フォーム(EFO対策)となっていたら購入(CV)に至りませんのでその点もあらかじめ対策が必要です。
購入した後にSNS上でシェアをしたり、レビューを行ったり等のUGC生成が発生します。
これはある程度、施策による生成も可能です。
※ご興味ある方は是非本ページ最下部のお問い合わせボタンよりchipperにお問い合わせください。
さて、最後にD2C展開において最も重要な考え方について触れます。
大前提ですが、D2CとはただのEC販売ではありません。
◯◯という”不”を抱えている人にその解消のための手段としての「商品」を届け、その”不”を最大限に無くした世界を創る
というビジョンや想いを届けることがD2Cに他なりません。
最も重要なのは実現したい世界を創ることであり、商品はあくまで手段でしかありません。
つまり、D2Cにおいてはターゲット(ペルソナ)が明確に固定されています。
「誰でも買ってくれていい」ではなく、ペルソナに合致する層にだけ買ってもらうというマーケティングが必要です。
そのため、下記の左側の図のような、いわゆる一般的なEC戦略のような最初にパイを広げた戦い方をしてしまうと、それだけ予算規模も大きく確保しなくてはならず、にも関わらず最終的な獲得顧客に対してロスする広告費が大きくなってしまいがちです。
弊社では、クライアント様からお問い合わせをいただいた後、定量的なデータ調査を軸にしたマーケット調査を行い、顧客インサイトを見つけ、ブルーポンド戦略を提案します。
ブルーポンド戦略とは、ブルーオーシャン(海)のような広い市場で戦うのではなく、ポンド(池)を見つけ戦うという戦略です。
競合他社が見出だせていない顧客インサイトから戦うマーケットを定め、最小の予算投下と最適なマーケティングチャネルをご提案し、投資額のロスを最小限にするためのご提案を行います。
(もちろん、商材的にあまりに開拓され過ぎていてブルーポンドすら存在しない市場の場合、こういったご提案が不可能なこともあります)
もし気になる方は一度下記のお問い合わせボタンよりお気軽にお問い合わせください。
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