2023年8月の経済産業省のレポートでは、ECの市場規模が過去最高の22.7兆円(前年比9.91%増)を突破したとの発表がありました。更に物販ECにおいてはEC化率も9.13%とのことで、こちらも過去最高です。
このようにEC市場は大きく成長している一方で、私の体験として不思議な状況も起きています。
それは「EC事業者やEC支援会社の話を聞く限り、伸び悩んでいるEC事業者があまりにも多い」ということです。
この状況の乖離の原因はどこにあるのかを考えていった結果、いくつかの複合的な課題に突き当たりました。
複合的な問題が絡み合っているように見えますが、実は解決策は「現状を捉えた正しいナレッジの共有」一つだと思っています。
そこで、私がこれまで多くのクライアント様のご支援を通じて培ってきたノウハウや考え方を体系化し「ECマーケティング4.0」として本記事で無料公開しようと思うに至りました。
スライド資料を画像化し、図解化を交えながら解説をさせていただきます。一冊の本を読むぐらいのボリュームとなっていますので、まとめた時間で読んでいただくことをおすすめします。
前述の経産省の発表データから、EC市場が大きく伸長していることは間違いありません。
物販系(青)のECの市場規模は特にコロナ禍の2020年から大きな成長率を示しています。
それでは、次に日本のECショップの数を見てみましょう。こちらのサイトで2年置きに統計を取ってくださっているので拝借します。
2018年は「色々な通販事業者が成功した」という情報を得て、各社が参入を始めました。
2020年は「コロナでオフラインで物が売れなくなりECをやらざるを得ない」という会社が参入を始めました。
2022年は、ECを開始して事業としての可能性のある会社が一通り参入し切って一段落したというフェーズです。
2022年の最新のショップ数を見ると成長は鈍化しているように見えますが、実はこれは2018年と2020年の成長率が異常だったのです。
2022年のショップ数の成長率は+15.8%ですが、2022年の日本の全業種の売上高成長率平均(CAGR)は4.5%となっており、EC業界が異常な速度で成長しているのです。
さて、「市場は成長している」ということと「ECに参入する会社が増えた」ということはわかりましたが、「1店舗あたりの売上は成長しているのか?」という観点ではどうでしょう。
これは「市場規模(全ショップの年商)」÷「ショップ数」で割り出すことができます。
この通り、実は比較すると1店舗あたりの売上は減っています。
参入する会社が増え過ぎてしまったため、市場は大きく成長しているように見えますが、1店舗あたりで見ると売上は減少してしまっているのです。
この状態を経済学的には「超過供給」と言い、供給が需要を大きく上回った状態と表現します。(ECで物を買う人より売るショップの方が増えた状態)
さて、この時どういった問題が起きるでしょうか? そこを考えるためには「消費者心理」と「広告単価決定の仕組み」について考える必要があります。
まず消費者から見ると物が増えすぎてしまい、購入時の選択肢が増えてしまいました。
その結果、消費者リテラシーが上がり、商品をよく吟味するようになりました。
物が買われづらくなり、CVRの低下に繋がっています。
加えて、多くのWebマーケティングの特徴として「入札制で単価が決定される」という物があります。
つまり ①ECショップ数の数が増え ②多くの会社がWebマーケティングを行うようになった結果 ③広告入札単価(CPM/CPC)が高騰してしまうという問題が発生しました。
「ecforce」で有名なSUPER STUDIO社が、2023年4月に自社ECサイト運営に携わる企業の担当者にアンケートを取ったデータでは、67.0%がCPMが高騰したと答え、66.5%がCPA(顧客獲得単価)が高騰したと回答しています。
今のEC市場では、競合と完全に同じポジショニングで戦いに行こうとすると、競合と同じ広告戦略を取らざるを得ないことが多いため、広告費が大量にかかってしまいます。
結果として短期的には事業採算性を度外視した体力勝負となってしまうことが多いため、競合とポジショニングをずらしながら戦うのがむしろ王道戦略とも言えます。
そこで考えなくてはいけないことが「バリュープロポジション」です。「競合が提供していない」かつ「ニーズのある領域」を攻めに行くという考え方です。
ECを始めてしまうと、消費者目線であることを忘れがちですが、消費者として購入する際、同じような商品が並んでいたら失敗したくないというマインドから「有名なブランド」を購入するか、失敗してもいいように「安い商品」を買うという選択をすることが多いと思います。
そのため、「顧客が求めているのに」「商品が存在していない」「自社が提供できる」領域を見つけ、商品設計をすることが重要です。
それでは「差別化をする」とはどういうことなのでしょう。
色々な考え方がありますが、端的にわかりやすいのは「第一想起を獲得すること」です。助成想起と言われる「みんなが知っているかどうか」の指標ではなく、第一想起と言われる「○○と言えば」で思い起こされる商品を目指すということです。
例えば弊社がプロデュースさせていただいた生チョコマカロンブランドMAMEILでは、「スイーツ」や「自分へのご褒美スイーツ」という大きな市場ではなく、「プチギフトであげる、Instagramで映える生チョコマカロン」という市場を狙いました。
金銭的優位性がないケースでは、競合が強い市場からではなく、まずはユーザーニーズを細かくセグメントしてその市場を攻めていくということが重要です。
第一想起を考えるためには、インサイトまで考えることが重要です。前述の通り、これだけECショップが増えた今では、浅いニーズは既に開拓され尽くしていると考えた方が良いです。
インサイトとは「言語化されていない消費者のペイン(悩み)」です。
インサイトを深掘った2つの事例をご紹介させていただきます。
洗濯用洗剤は、主婦の方の1日に朝から晩まで密着して発見したインサイトで「子供を抱えているお母さんは、粉洗剤を片手で洗濯機に入れられない」という潜在的な課題がありました。これは「洗濯用洗剤は粉が当たり前」という思い込みがあり、「こうなったらいいのに」という想いが生まれないという理由でインサイト化していました。
このインサイトに対して開発したジェルボール型の洗剤というコンセプトは大きく当たり、2023年時点で、洗濯用洗剤市場の10.8%のシェアを占めるまでに成長しました。
家庭用食洗機も同様です。食洗機のターゲット層を考えると、導入の意思決定権はお母さんにあります。一方でお母さんが「家事育児の手抜きをしていると思われたくない」というインサイトがネックになり、なかなか市場普及が進みませんでした。
そこで「この家電はお母さんの手間を減らし、子供と長くいる時間を作るための家電です」と訴求内容を変更したところ、売上は140%増加したとのことです。
私は、このインサイトの課題部分を「インサイトイシュー」と言い、インサイトに対しての解決策提案を「インサイトソリューション」と呼んでいます。
インサイトだけではなく、当然ですが事業性も考慮する必要があります。
「インサイトはあるけど市場規模が小さすぎて事業成立しない」
「競合リサーチが甘く、競合が強く広告費が高い市場だった」
という失敗例は非常に多いです。
これを定量的に捉えるために特に考慮すべきは、広告費と商品原価のバランスとなります。
今の市場感を考えると、広告費をコントロールすることは非常に難易度が高いです。
各社どれだけの期待収益があるかに応じて入札額を高く設定するためです。
そのため、商品原価が高すぎるため「そもそも広告費を捻出すると赤字になる」という事業構造になっているケースは、EC事業における典型的な失敗例と言えます。(一方で原価が安すぎると粗悪な商品となってしまうため、低ければいいというわけでもありません)
どの程度の原価にするかは、事業構造から考えていくことがおすすめです。
例えばリピート商品は競合が3.5回程度リピートをする前提で入札を行うことが多いため、3.5回分の限界CPAから逆算させた原価構成になっていると黒字化する構造になります。
今後重要になるであろうと言われているのがファンマーケティング/コミュニティマーケティングです。
消費者の参加意識や帰属意識を高め、あらゆるブランドの中で「このブランドは自分のブランドである、という第一想起」を獲得するということに近しいと思います。
重要ではある一方で、まだノウハウが確立されておらず、かつ競合の範囲が非常に広くなってしまうため、フォロワー数30万人以上のインフルエンサーさんでない限り、最初からファンマーケティングありきで実施することはあまりおすすめしません。
マーケティングの権威、フィリップ・コトラー氏は2023年時点では「マーケティング5.0」を提唱されています。
まずはマーケティング1.0から5.0をおさらいしてみましょう。
さて、EC業界のマーケティングはデジタルマーケティングの普及と共に急速に発達した市場が故に「全てがマーケティング4.0の中に収まっている」と言っても過言ではありません。
私が提唱するECマーケティング1.0〜4.0は、あくまでフィリップ・コトラー氏の「マーケティング4.0」の中での概念として捉えていただければと思います。
また、4.0の考え方が最新というわけではなく、一部の方からすると昔からあった考え方だと思います。
「D2C」という言葉がバズワード化した時に「あんなビジネスモデル昔からあった」という声もありましたが、ECマーケティング4.0も同様です。
ここでの定義は「こういう考え方をしないと売れなくなった」=「マジョリティ化しつつある」という定義で捉えていただければと思います。
1997年〜2007年をECマーケティング1.0と定義しています。
1997年に楽天市場が始まり、2001年にはAmazonがマーケットプレイスを開始しました。
そして2007年のiPhoneの販売開始出現から普及までは、パソコン中心・モール中心のマーケティング手段がコア手法でした。
一部のAndroid端末の普及は既に始まっていましたが、iPhoneによってスマートフォンのコモディティ化が急速に浸透し、ここから徐々に「スマートフォンを中心としたマーケティング戦略」への転換期が始まりました。
それまでの間を「ECマーケティング1.0」と定義し、モールで王道戦略に則って売ることが、イコール売上に繋がる時代です。
つまり「モノ(SKU数)を増やすことが重要である」という価値観がマジョリティ化していた時代です。
なお、2007年における日本のEC化率は1.52%でした。
※この図がこの後埋まっていきます。
そこからiPhoneが普及し始め、同時にSNSも普及したことにより、消費者の閲覧するチャネルが多様化し、それに伴って広告手段も多様化しました。「売るためにはプロモーションが重要である」という価値観へ移行した時代を「ECマーケティング2.0」と定義します。
販売チャネルの上位概念としてプロモーションという概念が存在し、販売チャネルはプロモーション戦略の一貫という考え方です。プロモーション手段が多様化したことによって、チャネル内プロモーションやチャネル外プロモーションをどのように組み合わせるのかが重要となりました。
これまでの一次元的な考え方(モノ→チャネル)から二次元的な考え方(モノ×プロモーション)となるため「1.0」から「2.0」とバージョンアップしております。
そして二次元思考のままのバージョンアップとして「プロダクト」に「コト思考」の概念が入ります。(コトラーのマーケティング2.0の考え方です)
より効果的なプロモーションを行うために、「ターゲット設計をより細かく行うことが重要」という考え方と、「プロダクトは顧客のニーズを解決するモノ」という考え方が同時に必要となりました。
前述のバリュープロポジションの考え方も踏まえ、顧客ニーズが存在するにも関わらず競合が不在である領域において「ソリューション=課題解決策」をプロダクトに反映させるという考え方がマジョリティ化し「ECマーケティング2.1」に進化しました。
マーケティング2.1までの考え方に「ブランドへの共感性」が入ることで「ECマーケティング2.2」に進化しました。
そのブランド自体のミッション・ビジョンや、CSR活動を通じて「そのブランドの創りたい世界観」への共感に「イミ」を感じて購入する状態です。
この状態では、顧客とのつながりが重要視されます。SNSでその商品をシェアすることで、その人の人格をどのように示すかということがブランドの価値となる時代です。(コトラーのマーケティング3.0の考え方です)
1.0から2.2までの考え方を端的に示すと、モノ消費→コト消費→イミ消費と表すこともできます。
また、この2.0から2.2の時期は、「D2C」がバズワード化した時期とも符号します。
「D2C」を「ブランドへの共鳴」と考えると、マーケティング2.0〜2.2の価値観が融合した物と捉えることができます。
コロナウイルスによって参入者が増えて、ECの事業難易度が急激に上がる2020年までが2.0〜2.2の時代です。
ECマーケティング3.0では、競合が増えたことでインサイトの深さが重要となり、ユーザーニーズを三次元で見る必要が出てきました。
第一想起が存在していて、市場規模の大きい市場は既に獲得されているため、マーケットの穴であるポジションを探すためには「インサイトの深さ」「イシューの深さ」が重要となります。
これを先程の図に当てはめると「顧客ニーズ」が「インサイト」に変わり、市場の考え方を三次元で見る必要性が出ました。
さて、インサイトを考えていくと、最終的にこのような文章が生成されます。
「解像度を上げる(著:馬田隆明氏)」でご紹介されている考え方を自分なりにECマーケティング3.0用にアレンジをしています。
※本著は、何か事業展開を行う方は必ず読むべき名著だと思います。
留意していただきたいのがイシューとソリューション(RTBとなる要素)がプロモーション手段も想定されていることです。
薬機法や景表法で表現不可な内容を作っても、実際に実行不可能であれば何の意味もありません。一方で薬機法では直接的表現は不可でも、工夫次第で魅力を伝えることもできるので、まずは一度思い込みに縛られずにイシューを考えてみることをおすすめします。
これをEC事業に当てはめると、例えばこのような文章が例となります。
さて、3.0ではどのように戦略を考えていくのでしょうか。それを理解するためには、まずは競合の定義について考えていく必要があります。
よく直接競合と間接競合という言葉を聞きますが、私は3段階の競合の定義があると思います。
まずはセグメンテーションしたユーザーのシーン(状況)、ユーザーのイシュー(課題)、イシューのソリューション(解決策)と考えた時に、3段階それぞれに競合が存在するという考え方です。
この例で言うと
となります。
一般的に競合と言うと「ソリューション」での競合(フェイスパック)を定義されることが多いですが、消費者はその状況の時にどれをイシューとするかということを考えると「肌状態を良好にしたい」という点での競合(美容液、保湿液)もあれば「髪状態を良好にしたい」という点での競合(ヘアオイル、ヘアアイロン)もあり、「ストレスを減らしたい」という点での競合(GABA、バスボム)もあります。
それぞれの競合に対して「なぜこのヒアルロン酸フェイスパックを選ぶのか」というバリュープロポジションを設計し、第一想起として選択される商品にする必要があります。
当然、ソリューション競合のような具体に近づくほど、差別化要素は強めなくてはいけません。一方でそこだけにこだわりすぎてしまうと、そもそもどの消費者のどういったイシューに対してリーチしたいかという本質的な部分を見失ってしまうことがあるため、全てを考えることが重要です。
「売れるEC事業」を作るためには、これらを細かく分けて考えていく必要があります。
どのようなステップで考えていくといいのでしょうか? そういった疑問を持たれる方も多いと思いますので、弊社が通常のEC商品開発支援時に行うプロセスを公開します。
多くのEC事業者様で聞く事例が、STEP7から入って失敗しているケースです。
消費者の課題の突き詰めができておらず汎用的な浅い課題に対してリーチしてしまう、ソリューション先行・プロモーション手段先行となってしまうケースです。
特に私がプロセスの中で重要視しているのが、必ず消費者の声を聞くということです。
STEP2〜6まで、必ず消費者への定性調査・定量調査を入れていますが、このアプローチによって偏りやバイアスを減少させるだけでなく、全く気づいていなかったインサイトに気づくことができるようになります。
例えば、20代女性向け商品のN1(1人の消費者だけ)では「友達が使っていたから買った」という声がありましたが、実際に6人への定性調査を行った結果、実は「友達から誕生日の時にもらったから」→「ではその友達はなぜその商品をプレゼントにしたのか?」→「Instagramの発見タブに出てたから」という共通項が6人中5人に存在することに気づきました。
その商品群のセンターピンは「Instagramの発見タブをハックし露出される状態を作ること」だったのです。
このように、事業と向き合うということは「モノに向き合う」ことでもあり、それを購入する「ヒトに向き合う」ということでもあります。消費者がどういった心の動きでその商品を買おうと思うようになるのか、本質を見極めることが大切です。
このように消費者の悩みを深堀って考えることが求められるため、三次元的思考として「ECマーケティング3.0」と定義しております。この考え方はコロナ禍以降2022年までの間でECショップが増えた中で、競争優位性を保つためにより重要という考え方がマジョリティ化しました。
さて、ここまで付き合っていただいた皆さんお疲れ様でした。
いよいよ本題であるECマーケティング4.0に移行します。
「ECマーケティング4.0」は、これまでの定義に則れば「四次元的思考」となります。四次元的思考とはどういうことなのでしょう?
それらを理解するために、まずは3.0と4.0の間とも言える「パーセプションチェンジ」について理解を深めましょう。
よくマーケティングでは「WHO(誰に)」と「WHAT(どういう便益か)」が重要と言われることが多いですが、スピード感の速いEC事業では、それに加えて「WHERE(どのチャネルで)」「HOW(どのように伝え、売るか)」も同時に考える必要があります。
と切り分けることができます。EC業界ではその成り立ちから、Webマーケティング領域(どこでどう売るか)は活発でした。ECマーケティング3.0以降は、マーケティング領域(誰のどういう便益を提供するか)までを網羅して考えることが重要という考え方となります。
加えて、消費者のステータスごとにWHO/WHAT/WHERE/HOWを切り分けて考えることも必要です。
それぞれのフェーズによって、誰にどういった内容を伝えるか、どの媒体でプロモーションを行うかが変わって来るという考え方です。
このようにしてユーザーの認知を変革させてマーケットの中の第一想起を獲得するというプロセスですが、これらの考え方をパーセプションチェンジと言い、「The Art of Marketingマーケティングの技法―パーセプションフロー・モデル全解説(著:音部大輔氏)」にて紹介されていますので、マーケティングに携わる方は全員読了されることをおすすめします。
「ECマーケティング4.0」では、先程の3.0の深堀って考えた消費者のインサイトと事業領域を、どのように拡張・変化させるのかという時間軸の概念が含まれます。
イメージとしては、元々の三次元の図を時系列によってどのように変化させるかを設計するという考え方です。
最初に獲得した消費者の第一想起を、どのように変化させるのかという戦略設計を含めた戦略の考え方です。
このように、ユーザーボイスも聞きながらではありますが、時間軸によってWHO/WHAT/WHERE/HOWの組み合わせを変更するという戦略が「ECマーケティング4.0」の考え方です。
ECマーケティング1.0から4.0をまとめて並べるとこのようになります。
さて、そうは言っても誰しも魔法使いではありません。完全に未来を見通すことは不可能です。
計画通りに考えても、その通りにいかないことも当然あります。
それでは、どこまで考えておくといいかについて、考えていきます。
まずECに限らず「事業」という括りでは、事業は3つのフェーズに分けられます。
それぞれ
と考えてください。イノベーター理論についてはご存知である前提で考えますが、図で載せるとこんな感じです。
このイノベーター理論を先程の事業の3フェーズそれぞれで考えると、イノベーターの二項分布曲線を三重構造で捉えると市場をより解像度を高くして見ることができます。
まずは「妊婦向けのサプリ」で第一想起を獲得し「産前産後サプリ」で市場を拡張し、「女性の肌ケアサプリ」という更に大きい市場へ挑戦するイメージです。
これは将来的にどういったブランドに成長させたいかという部分から、逆算型で現在の市場の穴を見つけていくという考え方となります。
また、イノベーターの中のイノベーターから、どのように次のイノベーター中のアーリーアダプターの認知を図るかというように、細かく市場のユーザーをセグメントして、セグメント単位での発信やプロモーションを考えていきます。
この考え方をより具体的に落とし込むと、このような図となります。
要点を抑えてステップに分けて説明します。
ここで重要な点が2点あります。
それは「設計自体は一度決めて終わりではなく、何度も往復をして決めること」と「決めた物に固執し過ぎず、実験を経てアップデートすること」です。
EC市場は動きが早すぎて、情報収集とアップデートが前提条件となっています。
一方で、だからと言ってこれらの要素が決まっていない状態では、競合に勝てない、消費者のニーズにフィットしないという状態は避けられないでしょう。
実は「ECビジネス戦略を構築するためのフレームワーク」は存在していません。
そこで弊社では独自でフレームワークを作りこれらの要素を網羅したフレームワークを独自で作り、「ECビジネスリーンキャンバス」と呼びクライアント様のご支援をさせていただいております。
いずれこちらについては別記事でまとめさせていただければと思います。
chipperではこういった考えに基づいた、EC事業トータルでの事業設計の支援を行っています。
もしこちらのフレームワークに興味がある方や、弊社でのご支援にご興味を持っていただけた方は、下記問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。