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論理的思考力を鍛える。演繹法と帰納法、アブダクション

2021/06/28

論理的思考(ロジカルシンキング)において、ものごとを分解して捉えることが重要ですが、ものごとを分解して捉えた上で推論を導き出す方法として、演繹法・帰納法があります。

学生時代に習うので、言葉として理解されている方も多いと思いますが、いざ活用するとなると、中々思い出せないと思います。

内容自体は簡単ですが、明確に理解した上で使えるようになると意外と強力な武器になります。今回は、社会人1年目や、別業界からコンサル業界に転向された方に向けてビジネス基礎として改めて演繹法・帰納法についてまとめたいと思います。

 

この記事はこのような方向けに書いています
  • 社会人1年目のビジネスマン
  • 別業界からコンサル業界に転向されたばかりの方

 

演繹法と帰納法の定義

演繹法とは

演繹法とは、一般論や前例から事象の結果について推測する方法です。主観や誤った情報が混ざると論理破綻するため、すでに分かっている事実から理論を展開する事が重要です。一般論や前例といった事実をベースにするので、仮説の推論としては精微な仮説を作りやすいです。ビジネストークでいうところの三段論法も演繹法に分類されます。特徴としては、自らのアイデアが正しいことを証明するときに効果的に使えます。

図で表すと以下の通りです。

図で記載しているように、「AならばBになる」という事実(一般論や前例)がわかっているときに、Aという事象からBという結果が導き出されるだろうことが予測できます。

簡単な例をあげると、

一般論:佐藤さんは、甘いお菓子をもらうと機嫌が良くなる。

という事実があるとします。これは本人も認めており、周りの人も皆知っている状態で一般論に限りなく近いものとします。

事象:今日、佐藤さんに甘いチョコレートをプレゼントした。

この事象から、

仮説:今日の佐藤さんは機嫌が良いかもしれない。

という仮説が立てられます。このように、一般論と起きた事象から仮説を立てる方法が演繹法です。

 

帰納法とは

帰納法とは、複数の事象とその結果から規則性を導き出し推測する方法です。重要な点は、規則性を探す際に、客観性や感情といった要素を排除した納得感のある共通項を見つけることです。また、単一の情報ソースから規則性を探そうとすると、バイアスのかかった情報になり得るため、偏った推測になるリスクがあります。複数の切り口から情報を探す・量と質を担保することで精度を高める必要があります。特徴としては、複数のデータから規則性を出し考察を導き出すレポーティングをする際に使いやすいです。

図で表すと以下の通りです。

帰納法では、AならばBという複数の事象から、規則性・法則性を抽出し、AならばBという結果になるだろうという仮説を立てるやり方です。こちらも簡単な事例で説明します。

事象1:友達が楽天のセールでバッグを安く買った

事象2:嫁が楽天のセールでバッグを安く買った

事象3:メールで楽天スーパーSALEの告知が送られて期間中商品が安いと告知している

という複数の事象と結果から、

規則性:セールでバッグが安くなる

という規則性が導き出されます。

仮説:楽天のセール期間中だとバッグが安く買える

という仮説が立てられます。このように、複数の自称から規則性を抽出し、仮説を立てる方法が帰納法となります。ただし、注意しないといけない点として、帰納法だけでは複数の事象の因果関係の証明はできないので、前述のように情報ソースが誤っていたり、偏りがあると誤った仮説を導いてしまう恐れがあります。

 

演繹的思考と帰納的思考の関係について

帰納法と演繹法は上記のような関係で成り立ちます。演繹法と帰納法の鍛え方

アブダクション(仮説的推論)について

もうひとつ、事象の結果と一般論から推測するアブダクションについても解説します。こちらは仮説的推論と呼ばれるもので、図で表すと演繹法とよく似た形になりますが、起きた結果から仮説立てを行い導き出すという点において、ものごとの課題を明確化したい場面や、原因を究明したい内容を説明する際に役立つ推論です。

結果からの推測になるため、マーケターやコンサルタントがすでに起きた結果から振り返る際に役立ちます。

簡単な例をまとめると、

一般論:競合他社がアフィリエイトの成果報酬単価を引き上げると、自社の紹介率が下がる

事象:自社の紹介率が下がった

仮説:競合者が成果報酬単価を引き上げたかもしれない

といった仮説が成り立ちます。アブダクションによる仮説の精度を高めるために必要なことは、普段からあらゆることに対し興味関心を持ち、仮説を立てることと、その検証を繰り返すことです。事例の数だけ仮説の精度が上がるため、普段の業務範囲の中だけに囚われず、あらゆる事象について興味を持ちながら生活すると良いかもしれません。

個人的なおすすめは、普段の生活から仮説立てと自分なりのアウトプットすることを癖にすることです。例えば、電車広告や街中のお店のレイアウトについて「なぜこの広告はこのような表現をしているのか?」という疑問とそれに対する自分なりの回答を考えるということを繰り返すと、自然と仮説立ての切り口パターンが増えるので是非試していただきたいです。

 

推論の使い分けについて

それぞれの推論ごとに仮説立てのプロセスが異なるため、シーンによってうまく使い分けが必要です。

演繹法が使える場面:

  • 考えた提案・アイデアに説得性を持たせたいとき
  • 具体的な戦略立案したいとき

帰納法が使える場面:

  • 複数のデータから統計を出したいとき
  • ソーシャルリスニングやアンケート調査の結果から考察したいとき

元となるデータの量と質が足りないと、仮説精度が低くなるため、注意が必要です。

アブダクションが使える場面:

  • 過去事例や、結果から推測して仮説を出したいとき
  • 広告運用の振り返りや実施施策の振り返り

推論の注意点

推論を立てる基軸になるのは、一般論です。そのため、一般論の情報精度が低いと、仮説のレベルも低くなります。また、最初調べた一般論に固執しすぎると、仮説まで引っ張られるので、なるべく相対性を高めた仮説を持つことも重要です。常識と思っていた一般論が世の中の情勢、調査などにより覆されることも多々あります。それぞれの推論の特徴を理解した上で使えるようになると、非常に強い武器になりますので、是非普段から意識してみてください。

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