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CTVRとは?生成AI時代のコンテンツマーケティングにおける重要指標

2024/09/13

生成AIの登場により、コンテンツマーケティング業界の構造が大きく変化しました。業界構造が変わる中、これまで通りのマーケティング指標でメディアの成果を測るのではなく、成果判断指標自体にも変化が求められると考えています。今回はそうした業界変化がある中で、WEB広告業界では一般的に活用されてきた成果改善・判断指標がコンテンツマーケティング業界においても有効活用できるのではないかという点に着目した内容をまとめました。

この記事はこのような方向けに書いています

この記事は、生成AIの登場により今後のメディアの運用方針やコンテンツマーケティングによるリード獲得について悩まれている方向けに書いています。

主なターゲット例:

  • リード獲得数増加を求められるマーケティング責任者
  • メディア運用のKPI設計で悩まれているメディア運用責任者
  • 自社発信が求められるHR(採用人事)担当者
  • SaaSサービスのCX(カスタマーエクスペリエンス)担当者

CTVRとは?

CTVRクリックスルービジットレート)は、WEB広告領域における重要な指標で、CTR(ユーザーに表示された広告のうち、実際に広告クリックされた割合)とCVR(コンバージョン率=転換率)を掛け合わせた指標です。

これは、広告がどれだけ効果的にクリックされ、その後のコンバージョンに結びついたかを示します。CTVRを高めることで、広告の費用対効果を向上させることが可能です。この考え方は、本来はクリエイティブ改善のPDCAが寄与しやすいデジタル広告領域で主に活用されている指標です。

CTVRとは?

CTVRとは? 

一方で、SEO業界やコンテンツマーケティング業界の方にとっては意外と耳馴染みのない指標ではないでしょうか?(少なくとも執筆した時点では、CTVRと検索をかけても広告における指標や事例しか出て来ず、コンテンツマーケティング業界で使用されている形跡はありませんでした。そもそもCTVRの検索ボリューム自体も小さかった。)

あくまで私の仮説ですが、広告業界はクリエイティブ更新頻度が多く、改善行動が成果に直接的に寄与するためCTVRという指標が使われていたと考えています。具体的には下記2点が影響していると考えています。

  • WEB広告は衝動的な購買意欲を高めることを重視したコンテンツなので、オファー内容の変更や言い回しの変更といった改善で成果が大きく変わるため、PDCAするための更新頻度がそもそも多い。

 

  • 広告配信する際は特定のターゲットにセグメントして配信するため、一定量配信すると、同ユーザーに何度も同じ訴求で配信されてしまう状態になり(特にmeta広告は顕著)、ユーザーに飽きられることにより成果が落ちてしまうため更新頻度が多い。

 

それに対し、コンテンツマーケティング業界では、コンテンツの制作コスト(SEO記事一本で5~10万円、LPに関しては1本100万円ほどかけるのも当たり前)が広告クリエイティブの制作コストと比較し高い傾向にあります。また制作コストが高いだけでなく、丁寧に顧客の態度変容を促しファン化やサービス理解をしてもらった上で、問い合わせに繋げるのがコンテンツマーケティングであるため、衝動的な購買意欲を高めて購入に繋げるWEB広告と比較すると、成果が出るまでの時間軸が相対的に長くなります。

一度作ったコンテンツの改善よりも、コンテンツ資産を増やす新規記事制作にリソースや予算を割く意思決定がされやすい業界だったため、まずはサイトPV数を増やすことが優先されてきた印象です。しかしながら、生成AIの登場によりコンテンツマーケティング業界の構造変化が起きたことで、改めて成果のために見るべき指標に変化が生じていると考えています。

生成AI登場によるコンテンツマーケティング業界の変化

生成AI登場によって変わった変化の中で最も大きい点は、専門家知識を再現した形でコンテンツが簡単に生成できてしまうという点と捉えています。

ちなみに、我々もその特性をマーケティングに最大限活かせるサービスを提供しようと、ChatGPTの登場した翌月末にはおそらく国内で一番最初にSEOライティングツールとしてCreativeDriveをリリースし非常に大きな反響をいただきました。

リリース記事はこちら

クリエイティブドライブのリリース反響

Creative Driveのリリース当時の反響

その後、いくつもの生成AIを活用したSEOライティングツールが世の中にリリースされたことで、かなりの注目度で生成AI✖️SEOライティングの市場が出来上がりました。これは業界的なインパクトは非常に大きく、事実として、生成AI利用でメディアの流入増加といった成果が上がる事例が毎日のように生まれてきています。

つまり、これまで人の手で記事執筆やLP制作していた頃と比較し、効果を出すためのコンテンツ制作における工数が圧倒的に下がったことにより、誰でも簡単に一定以上の品質のコンテンツを作成できるようになったのが、今のコンテンツマーケティング業界の現状です。今までメディアに予算を割くことができなかった事業者の参入だけでなく、既存メディア運営事業者においても記事生産量をこれまで以上に増やすケースも生まれ、市場全体を通してのコンテンツ量(ないしは、コンテンツに関するデータ量)が爆発的に増えることが予想されます。

当然、一定以上品質の記事の量が増えるということは、仮にAIで書いてリライトをしていない汎用性の高い記事において相対的に価値が落ちます。これは記事ジャンルによって結果の差異はあれど、YMYL※1領域などでは既に検証済みで、記事自体の独自性や1次情報などによるE-E-A-T※2の重要性が増しています。そうすると必然的にこれまで着手の難しかったコンテンツのアップデート・リライトの必要性が高まります。

こうしたコンテンツマーケティング業界のゲームチェンジが起きた中において、これまでのようにSEO対策によってサイト流入数を増やすことだけを指標にするのではなく、コンテンツのリライトを通して、リード獲得の成果向上に繋げることの重要度が増してきたと言えます。当然、WEBマーケティングの戦略として見るべき指標も今の市場状況に併せて変化させるべきで、より重要視するべきは、コンテンツ修正によってどれだけ成果に繋がるか?すなわち広告業界で成果改善・判断指標として活用されてきたCTVRであると考えています。

※1:YMYLとは:YMYLはYour Money or Your Life の頭文字を取った略称で、お金や健康などのジャンルを示すGoogleの検索品質評価ガイドラインに登場する用語です。お金や健康などに関する情報は、人の生活や人生に大きく影響するジャンルのため、Googleはコンテンツの評価基準を厳格にし、検索結果品質を高めようとする動きがあります。

※2:E-E-A-Tとは:「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の略で、Googleの検索品質評価ガイドラインで定義されてるウェブサイトの評価基準です。

CTVRに関連するそれぞれの指標について

CTVRを正しく理解する上で、関連する指標についても改めてまとめました。

  • CTRClick Through Rate: コンテンツが表示された回数に対して、どれだけの人がそのコンテンツをクリックしたかを示す割合。CTRはコンテンツの魅力やクリックされやすさを評価するために使用される。一般的に広告コンテンツでよく利用される指標だが、例えばオウンドメディア内のバナーやCTAボタンにおいても同様の考えが必要になる。
  • CVRConversion Rate: コンテンツをクリックした人の中で、どれだけの人が実際に商品購入やサービス登録などのコンバージョンに至ったかを示す割合。CVRは最終的な成果を測るために重要となる。
  • MCV(Micro Conversion):ウェブサイトやアプリケーションにおいて、最終的なコンバージョンに至るまでの中間地点の目標達成を指す。これには、ホワイトペーパーダウンロード、ニュースレターの登録、商品ページの閲覧、カートへの商品追加などが含まれる。

     つまり、コンテンツ品質指標であるCTRと直接的なリード獲得指標であるCVRを掛け合わせた指標で、クリエイティブがクリックからコンバージョンまでどれだけ貢献したかを示します。例えば、CTRが高くてもCVRが低い場合、クリックは多いがコンバージョンには結びついていないことがわかります。一方で、CTVRを用いることで、クリックとコンバージョンの両方に貢献しているコンテンツを特定することが可能となります。それぞれの指標を個別に評価するのではなく、掛け合わせて評価することが成果判断指標として重要な理由は下記になります。

      例えば、CTRの向上だけを目標にした場合、結果だけを求めるならば、オファーの訴求を強めることが重要です。(例:今だけ90%OFFセールなど)しかし、どんなにCTRが向上したとしても、成果につながらないのであればそれは不要なクリックを生むだけでなります。WEB広告は基本クリック課金型の支出になるので、無駄なクリックが増えるということはコストも無駄にかかってしまうことに繋がります。WEB広告に限らずオウンドメディアやランディングページであってもサーバーが従量課金型の契約をしている場合や、PV依存で課金額が増える分析ツールや、チャットボットを導入している場合、関係のないクリックが増えてしまうとコストが発生します。

      一方で、CVRだけを指標にする場合、顕在顧客中心のマーケティング施策に陥ってしまうケースが往々にしてあります。当たり前ですが、ブランドを販売している場合、最も転換率の高まるキーワードはブランドの固有名詞になります。仮にブランド名検索のみで商品ページ流入がある場合は、転換率が相対的に高まります。そのため、一見成果が上がっているように感じてしまうケースがあるのですが、それは既にブランドを知っているお客さんに見られる割合が多いからであって、新たな顧客獲得に繋がっているわけではないのです。

      極端な例でしたが、CTRとCVRを独立して判断指標にしてしまうと、成果向上の観点で正しく評価できない場合が発生します。そのため、クリエイティブを起点として成果改善をする場合において、CTVRを判断することが非常に重要となります。

      CTVR活用する上でのメリット

      成果貢献につながっているコンテンツの特定をできるCTVRを正しく把握することで、コンテンツマーケティングにおいても下記のメリットがあります。

      コンテンツマーケティングにおける総合的な評価

      CTVRは、コンテンツのバランス力を評価するために使用されます。CTRCVRだけでは見えない、コンテンツ全体の効果を総合的に把握することができます。

      例えば、Eコマースを例にあげると、サイトへのセッションが増えているのにも関わらず、顧客獲得に繋がっていない場合、CVRだけを改善に向けた指標にしてしまうと、オファー訴求を強めるためにセール価格を下げよう、ランディングページの最適化を図ろうといった発想が生まれます。

      しかし、CTVRを指標にした場合だと、どこのチャネル経由のクリックがCVに寄与しているか?検索の場合、どのキーワード経由か?またどの記事をみてからランディングページに到達したのか?といった顧客行動と、顧客との接触面でどのような情報を届けることができたか?といった顧客の行動変容に合わせた戦略を立てることが可能となります。

      費用対効果の最大化

      どの記事、ないしはどの記事グループが成果に寄与しているかを明確化できるため、施策費用に対する成果を最大化することが可能です。これは、コンテンツがどれだけ効果的にユーザーを引き付け、最終的な行動に結びつけているかを示すため、マーケティング戦略の改善に役立ちます。

      例えば、一般的にハウツー記事は顧客の調べたい情報を提供することには繋がりますが、直接的なCVには繋がりにくいです。一方で、自社サービスの利用事例が書かれた記事であれば、サービスを検討している人が購買する前に読む内容になるため、事例内容や編集がよければ、情報収集しているユーザーから問い合わせに繋がる確率が高まります。

      このようにコンテンツの種類によって、顧客獲得に直接寄与するものか、サイト流入増加に寄与するものかの違いが発生するため、リード獲得の成果に寄与させるにしても、どのコンテンツを改良すべきかが判断できれば、成果寄与に繋がるコンテンツのリライトや、関連性の高い新規記事を制作すれば良いことが見えてくるため、効率的に記事制作が可能となり、費用対効果の最大化にも繋がります。

      CTVRを向上させる方法

      CTVRを向上させるための方法について、具体的な改善の切り口をいくつか挙げます。

      ターゲットに合わせたコンテンツ発信

      ユーザーのニーズや関心に合わせたコンテンツを提供することで、ユーザーのクリック率(CTR)が向上に寄与します。ターゲットに合ったコンテンツを継続的に提供することで、発信する企業ないしは提供サービスの信頼性や価値が高まり、リピーターやファンを増やすことに繋がります。これにより、CTRやCVRが持続的に向上し、CTVR全体が強化されます。

      一方で、リサーチや分析、コンテンツ制作に時間とコストがかかる作業がターゲットに合わせたコンテンツ配信の難点といえます。頻繁なアップデートや複数のターゲットに対応しようとすると必然的に運用の手間も増えるため、これまでのSEO対策で行われていたほとんどは、キーワード毎のターゲットやペルソナの洗い出しを行いそれに合わせた新規記事作成で、定期的なリライトはあっても、ターゲットに合わせたリライトよりも、最新情報へのアップデートが主な目的でした。
      しかしながら、生成AIの登場によって機械学習によるレコメンド化×生成AIによるコンテンツ生成を組み合わせることで、継続的にユーザーデータをもとにしたコンテンツリライトの実現可能性が高まっております。

      導線の最適化

      CTVRの改善を図るためには、ユーザーが目的の行動に至るまでの流れをスムーズにすることが重要です。ユーザーがコンテンツに対して興味を持ってクリック(CTR)した後、いかにスムーズにコンバージョン(CVR)まで導くかがビジネスの成功に直結するためです。
      最適化された導線は、顧客体験を向上させ、最小限の障害で購入や登録などのコンバージョンに至らせることができます。当然ながら、導線設計が不十分だと興味を持ったユーザーが離脱し、結果としてCTVRが低下してしまいます。

      導線の最適化をする上で、記事単体でのペルソナ設計はもちろんですが、メディア全体としてのペルソナ設計やカスタマージャーニーマップの構築をするとより解像度が高まります。
      B2Bサービスを展開している企業様にとって、個人的にお勧めの導線構築の仕方とコンテンツ決定の方法は、営業に普段効率よく獲得できる提案の仕方や具体的に成約に至るまでのコミュニケーション方法を聞き、それをもとにステップを定義し、それに合わせたコンテンツ設計と導線設計を行うことです。
      営業で実際に行われているステップが、実はメディアにとっての独自性を高めることにも繋がり、結果的にSEO評価も上がる(昨今のSEO評価において独自性や一次情報の重要度が増している。)だけでなく、サイト流入後の問い合わせに繋がる近道になります。

      CTA(コール・トゥ・アクション)の最適化

      CTAの数を増やし、位置やサイズ、色、文言を工夫することで、ユーザーの行動を促進します。CTAは目立つ位置に配置し、行動を促す明確な表現を用いることが推奨されます。
      ちなみに、CTAボタンを目立たせることが、ユーザーに対する営業感が増してしまうなどの意見を極たまに伺うことがあるのですが、実際にはユーザーは次のアクションが明示されていることで、自分が必要としている情報を入手し目的を果たすことができるようになるため、UI/UXの観点でいうとユーザーフレンドリーであると考えています。
      例えば、さまざまなコンテンツを通し、ユーザーにせっかくサービスの興味をもらったにも関わらず、問い合わせボタンがなければ、ユーザーはWebサイト上のメニューから問い合わせページを探さなくてはいけません。
      CTAが目立つ位置に設置されていたり、自然な文章の流れの中ですぐ問い合わせが可能な位置に設置されていれば、そのようなストレスを軽減することができます。

      また、CTAボタンを作成する際に、杓子定規的に「詳細をこちら」のような文章を用意してしまうケースもよく見受けられるのですが、CTAボタンの目的は「その行動をとることによって起こる変化や得られる利益は何か」を感じてもらい、問い合わせ、ないしは商品購入などに繋げることなので、できるだけ具体的にアクション後に何に繋がるかを想起してもらえる文章だと望ましいです。
      例えば「商品購入はこちら」「ホワイトペーパーダウンロードはこちら」など明確化させることで、ユーザーを次のアクションに促しやすくできます。

      エントリーフォーム最適化(EFO

      コンバージョンに至るために必要な情報入力フォームの簡略化もCTVRに寄与する手段です。例えば、登録フォームでは必須項目を最小限にし、テキストの自動補完機能を使うなど、ユーザーの入力負担を減らすことでCVRを向上させることが可能です。
      余計なフィールドや確認作業、無駄な手間があるとユーザーは途中で離脱してしまう可能性があります。具体的手段としては、下記のような手段が挙げられます。

      • フリガナの自動入力や入力状況の自動表示、住所項目の自動反映等
      • 必須ではない項目のアコーディオン化(ユーザー任意で表示・非表示が可能)
      • 郵便番号や電話番号などのカラムを1つに集約
      • 任意項目にあえて任意というラベル表記を足す
      • パスワードを表示するのチェックボックスを追加
      • 全角・半角の自動変換

      これらの施策は、記事品質を高めるだけでなく、ユーザー体験を向上させることでCTVRを高めることができるとされています。各施策は継続的な見直しと最適化が必要であり、データ分析によって効果を測定しながら進めることが重要です。

      ちなみに、個人的にCTVR計測でおすすめなツールはLeanGO様の提供されているDejamがおすすめです。
      いわゆるLPOツールですが、他とは異なる特徴としてはCV計測ができる点と、カテゴリグループ単位で効果計測ができる点、またツール内でポップアップバナーなども作成できるため、効果計測した内容をもとに成果反映に繋げやすいのがおすすめの理由です。

      Googleもコアアップデートを繰り返し、ただ単純にコンテンツ量産すればいいというわけではなく、コンテンツ価値(独自情報やユーザーにとって価値ある情報)の重要性や、ドメイン全体のカテゴリ明確化などの重要度が増しており、リード獲得に繋げるための施策が結果的にサイト流入増加にも影響を与えることが見えてきています。

      ぜひ皆様もメディア運用される際は、ただ記事本数を増やしPV数を増やすことを考えるのではなく、CTVR指標をKPIにし、コンテンツマーケティング戦略を立ててみてください。

      CTVRを軸にした支援

      我々chipperでも、Creative DriveのSaaS提供とは別にCTVRを軸にしたSEOの運用代行支援と記事制作代行(AI×パーソナライズデータ×プロライターによる記事制作でより高い品質かつ相場よりも圧倒的な低価格で提供)を行っています。

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